放射線遮蔽材の開発に成功 早川ゴムの配合技術が貢献

2019年09月26日

ゴムタイムス社

 早川ゴムは9月24日、近畿⼤学医学部放射線医学教室准教授・⾨前一氏を中⼼ とした研究チームが、同社の協⼒を得て、加温することによって柔らかくなり、常温では型が維持できる放射線遮蔽材「シーラー ソフト・タングステン・ラバー(STR)」の開発に成功したと発表した。

 同社の独自の特殊配合技術により、柔軟性・加工性・可撓性に富み、加温することで柔らかくなり、常温では型が維持できる新しい放射線遮蔽材が開発された。

 この開発は、有害な鉛やアンチモンの代替放射線遮蔽材として、人体や環境に優しく、再利⽤が可能であり、かつリアルタイムに成型可能な特徴を有しており、新しい放射線防護体系への展開が期待できる。医学面では、 電子線治療と小線源治療時の迅速な遮蔽材の作製を可能とし、工業面では災害や有事の際の緊急放射線防護措置の素材としても使用可能

 同開発に関する論文が、21⽇、医学物理学分野のジャーナル「Physi ca Medica European Journal of Medical Physics」にオンライン掲載された。

 開発のポイントとして、①リアルタイムで成型が可能な放射線遮蔽材「STR」を世界で初めて開発 、②加熱時に有害なガスが発⽣する鉛を使⽤せず、環境に配慮した放射線遮蔽材、③放射線治療における活用に加え、災害時の緊急放射線防衛材としての活⽤も期待されるの3点が挙げられる。

  従来の遮蔽材は、放射線を用いた医療・工学分野では鉛が主に使用されていた。ただ、鉛は加工が困難なこと、加熱時に有害なガスが生じること、その廃棄物は環境への影響が懸念されていることから、米国、ヨーロッパなどではその使用を原則禁⽌する動きがある。鉛フリーの放射線遮蔽材としては、アンチモン、ビスマス、バリウムなどが使⽤されているが、アンチモン、ビスマスは鉛同様に毒性の問題があり、バリウムは安全に使用可能だが遮蔽能力が鉛に劣る問題がある。

 加えて、タングステンは放射線遮蔽能力が高く、人体に有害である根拠も無く優れた⾦属だが、高価という欠点があった。この課題を解決するため、今回開発した「STR」は、 ゴムが有する柔軟性・加工性を維持したまま、タングステンの有する放射線遮蔽能力を併せ持っている。

 

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