9社が前年を上回る ゴム24社の海外売上高比率 

2019年08月26日

ゴムタイムス社

 本紙がまとめたゴム関連企業24社の2018年度海外売上高比率によると、前年度の比率を上回った企業は9社となり、前年度の16社から7社減少。また、海外比率が5割を超えた企業は11社となった。

 国内需要が頭打ち傾向にある中、ゴム関連企業は成長を求め、北米や中国、アセアンを海外事業に注力してきた。それに伴いゴム企業の海外売上比率も伸びてきたが、18年度は米中貿易摩擦の影響で中国経済の減速感が鮮明になったことや、対米ドルが小幅な円高傾向で推移したこと、さらに対ユーロや対新興国でも円高で進行したことで、前年実績を下回った企業が増えたものと見られる。

 タイヤメーカーでは、ブリヂストンとTOYOTIREが前年実績を上回った。ブリヂストンの海外売上高比率は8割を超え、ゴム企業27社の中で最も高い水準となっている。ブリヂストンの海外売上高のうち、地域別で最も多いのは米州の47・6%。北米タイヤ事業は、乗用車用ラジアルタイヤとトラック・バス用タイヤとも新車用が好調だった。トラック・バス用については、欧州と中国・アジア大洋州も2ケタ増と伸長した。
 TOYO TIREは北米市場で、同社が強みとするライトトラック用タイヤ及びトラックバス用タイヤの販売が堅調に推移。これにより、北米の売上高は同6%増となり、海外売上をけん引した。
 住友ゴムや横浜ゴムは前年実績を下回ったものの、2社とも海外事業をさらに拡大すべく、引き続きブランド力向上や生産体制強化に向けた取り組みを進めている。

 ベルトメーカーはバンドー化学、三ツ星ベルト、ニッタはいずれも前年実績を下回った。このうち、海外比率が最も高いのは、バンドー化学の48・1%。同社の海外では、アセアンは自動車部品事業でタイ、ベトナム、インドでスクーター用変速ベルトの販売が増加したほか、産業資材事業では農機用伝動ベルトの販売が増加し、両事業とも前年実績を上回った。中国は、自動車部品事業は主要顧客の生産減により販売が減少し微減収となったが、産業資材事業は農機用伝動ベルトの販売が増加し、8%近い増収となった。
 自動車部品メーカー5社のうち、前年を上回ったのは住友理工、フコクの2社。自動車部品メーカーで海外売上高比率が最も大きいのはNOKの63・7%で、前年の67・2%から3・5ポイント減少した。海外売上の5割強を占める中国売上が2割近く減少した影響を受けた。

 工業用品その他で最も伸びたのは不二ラテックスで4・7ポイントの増加。主力製品の避妊具は国内市場を取り巻く環境は依然厳しい状況が継続しているが、海外では日本製の高品質を訴求した営業活動が奏功し、継続的かつ安定的な受注につながった。

 合成ゴムではJSRが前年度から1・0ポイント減、日本ゼオンが1・2ポイント増となった。JSRのエラストマー事業は、販売数量は前期に対し減少したが、SSBRの販売数量を伸ばしたこと、製品価格の改定などにより、売上収益は前期を上回るなど、海外売上全体も上回った。ただ、国内収益がそれ以上の伸びをみせたため、前年実績を下回った。日本ゼオンは日本が減収となったのに対し、海外は北米や欧州、アジア、その他など全地域で増収となった。

 

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