東海カーボン 米CB大手SRC社を買収

2018年06月27日

ゴムタイムス社

 東海カーボンは6月26日、同日開催した取締役会で、米国のカーボンブラックメーカーであるシド・リチャードソン・カーボン(SRC社)およびそのグループ会社であるSRCG社とNew SRCG Genpar社の全持分を取得し子会社とすることを決議し、持分譲渡契約を締結したと発表した。

 取得価額は341億円で、2018年9月上旬の取得完了を見込んでいる。

 これにより同社の生産能力は年間49万7000tから93万7000tに増加し、世界7位から5位以内に市場シェアを広げる見通しとなる。

 同社は2017年2月に公表した3ヵ年中期経営計画「T‐2018」Phase2に則り、構造改革が主であったPhase1から成長戦略へ軸足を移した取り組みを進め、その成長戦略の下でM&A等に向け設定した約500億円の戦略投資枠を活用し、2017年11月にSGLの電極事業米国子会社を買収、2018年5月には韓国東海カーボンを連結子会社化しており、今回はそれに続く戦略投資の一環となる。

 カーボンブラック事業は同社の主要事業の一つで、中長期的に事業領域を拡大する分野と位置付けていて、石油、石炭系原料油等で製造するファーネスブラックの分野では、日本、タイ、中国に生産拠点を展開し、アジアにおけるリーディングカンパニーの地位を築いてきた。

 また、2014年にはカナダのカンカーブ社買収により、天然ガスを主原料とするサーマルブラック分野への進出も果たしており、同社の収益力向上に大きく寄与している。

 一方で、今後も事業分野を拡大するためには、ファーネスブラックの分野において、主要な日系ユーザーの多くが進出する北米市場でのプレゼンス向上が同社の今後の課題となっている。

 SRC社は米国における生産能力第1位(年産44万t)のファーネスブラックの製造・販売会社であり、米国内に3工場を有し、創業以来タイヤメーカーを中心に欧米ユーザーに加え、日系ユーザー向けにも確固たる顧客基盤を築いている。

 今回のSRC社の子会社化により、中国に次ぐ巨大市場である北米市場の取り込みが可能となるほか、北米の生産拠点確保によるタイヤ・ゴム部品メーカーへのグローバルな供給体制の整備や、欧米ユーザーとのグローバルな取引拡大が可能になるものと同社は見ている。

 また、SRC社との技術交流により生産性の向上とコスト競争力の強化にもつながると期待している。

 2018年12月期連結業績に与える影響については、開示すべき条項が発生した場合は速やかに開示することにしている。

 

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