BASF 自動車内装用特殊ポリアミドを開発

2018年01月11日

ゴムタイムス社

 BASFは1月10日、半結晶性ポリアミドの耐薬品性と、非晶性プラスチックの高い光沢度・透過性を兼ね備えた特殊ポリアミドである、ウルトラミド・ディープ・グロスの開発に成功したと発表した。

 高い光沢度と耐久性が備わっているためコーティングが不要で、自動車内装コンポーネントに最適。光沢度の高さと優れた耐傷つき性、さらに高い耐薬品性と耐紫外線性のバランスの良さを特長としている。

 また、細部まで忠実に再現が可能な製品であり、表面上で光と影の強いコントラストを実現。開発の過程では、排出ガスや臭気に関する自動車業界の要件を考慮した。今後サンプルとして世界的に提供が始まる。

 非晶性プラスチックは光沢度の高さから、多くの日常製品で使われている。しかし、もともと耐薬品性・耐傷つき性・耐摩耗性が十分ではないため、表面品質を長く維持したい場合には、コーティングが必要だ。半結晶性ポリアミドは耐薬品性に優れているが、最高レベルの表面品質に求められる光沢度や耐傷つき性を備えていない。

 同製品はポリマー原材料と添加剤のバランスを取ることで、高い光沢度や透明性のほか、耐傷つき性や耐紫外線性といった高い表面品質を持続させる特性を備えている。他のコーティングされていない高光沢度の素材と比べても、耐摩耗性を持ち合わせている点で、同製品は優れていると言える。バリオサーマル金型システム(金型昇降温機構を有するシステム)なしでの射出成形が可能で、コンポーネントのコーティングが不要なため様々な加工も可能である。

 車の内装では、ピアノブラックのように艶やかな黒の人気がある。高品質で部分的な機能性を備えた表面素材の需要は、今後も増え続けると予想される。この傾向は、自動運転への移行に続く、新たな運用コンセプトに後押しされている。

 同製品はバランスの取れた特長から、設計者に対してリップル加工やウェーブ加工、ハンマー仕上げ、ライン、ダイアモンドなど、通常では考えられないテクスチャーを新たに取り入れる可能性を提供している。また、触覚設計要素を表面の構造に取り入れることも可能。適切なセンサー技術と組み合わせることで、統合型かつ機能的な設計が可能になる。

 また、同製品は照明周りのディスプレイや装飾パネルのエッジなど、装飾用トリムに最適でもある。高い光沢度と耐薬品性を新たに組み合わせたことで、ヘッドライナーの収納ラック、車のドアのはめ込み、センターコンソール、エアーベントなどの機能的なコンポーネントなどにも活用ができる。

 ピアノのような黒だけでなく、陶白色やアイボリー、アーシーカラーなどのプレミアムカラーも可能。主に自動車の内装材向けに開発されたが、同じような需要のある消費財部門のコンポーネントを製造することも可能となっている。

ウルトラミド・ディープ・グロス

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