年頭所感 日本ゴム履物協会 猪山渡会長

2018年01月09日

ゴムタイムス社

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は「いざなぎ景気」を超える戦後二番目の長さとなる景気回復期にあり、7~9月期の実質国内総生産は約16年ぶりの7期連続プラス成長でありました。世界経済の回復と円安に支えられて外需主導により日本経済は安定的に拡大している中で、残念ながら個人消費は減少に転じました。その要因として前期からの反動や長雨、台風などの天候不順が挙げられておりますが、収入が伸び悩む中では景気回復の実感に乏しく、家計支出では節約傾向さえ窺えます。大手スーパーは日用品や食品の値下げで対応しており、さらに衣料雑貨関係にも広がる気配を見せております。

 履物購入においても婦人靴、紳士靴は足数、金額ともに前年を下回り、スニーカーブームに支えられて好調に推移してきた運動靴関係でも購入単価の下落が目立ち始めました。買い控えが強くなる中、アパレルショップやネットショップなど靴小売業以外の扱いが拡大しており、大手靴小売店では集客力・利益率向上、市場開拓を目指してプライベートブランド商品の比率を高めています。履物メーカーにとっても同様に販売チャネルが多様化し、消費者との接点が希薄化するのではないかと危惧しております。これまで以上にマーケティングを充実させ、消費者が求めるデザイン、機能、価格等を的確に捉えなければなりません。品質管理は当然ながら重要でありますが最終消費財である履物にとっては必要不可欠な要素であり、消費者の商品選択基準は他との違いに重きがあるのではないでしょうか。協会員は会社の規模も得意分野も様々でありますので、各社多様な特徴を有しています。自社の強さ、弱さを把握し、弱さをカバーしながら、それぞれ特徴のある差別化商品の開発に努めなければなりません。

 本年も世界経済拡大を背景に持続的な景気回復が予想されます。人手不足はなお深刻で外食産業では値上げの動きがあり、建設現場では工事の遅れが生じているようです。運送関係でもドライバー不足から配送費の値上げで物流費対策に追われています。また、比較的安定していた為替相場は欧米との金融政策の違いから円安への流れも予想されます。原材料の値上がりや中国では環境規制の強化による発電燃料費のアップなど製造、輸入コスト上昇の可能性があります。東京五輪に向けた建設工事が一段落して、消費増税も予定されている来年に向けて課題も多い年になると思いますので、今後とも会員の皆様と情報を共有し一歩ずつ問題を解決して前進していきたいと考えます。

 今年一年が皆様にとって良い年になりますことを心よりお祈り申し上げまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

猪山会長

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