取材メモ 「安全第一」が生んだ美しい夜景

2017年06月26日

ゴムタイムス社

 地域活動を通じた社会貢献を重視する企業が増えている。その中で、少し変わった形での地域活動も出始めている。

  旭カーボン(新潟市東区、大橋牧夫社長)は、創業66年を迎えるカーボンブラック製造・販売の専業メーカー。創業当時の本社周辺は、葦原が広がる中に工場が点在する自然豊かな場所だったそうだが、その後、商業施設や住宅が増えて小学校もできている。

  同社では06年から、工場の脇を流れる通船川(つうせんがわ)の美化活動を行っており、14年からは、春と秋の交通安全運動に合わせて、同社の大橋牧夫社長を含めた社員が交差点に立ち、交通誘導を行ってきた。また、近隣の小学校に対する活動では、10年から習字の書き初め用の教材として、同社のカーボンブラックを使った墨汁を寄付している他、本社工場で課外授業を受け入れ、カーボンブラックやゴムに関する幅広い知識の普及に努めている。

  こうした地域活動について、大橋社長は「高邁な理念があってと言うより、地域に根差した活動を行っている意識の方が強い」と語っている。周辺の住民に対し、企業がどんな事業を行っているのか理解してもらうことは、コミュニケーションの第一歩である。

  そして、もう一つ同社には強みがある。それが、工場の「夜景」だ。

 近年は、コンビナートを照らす夜景が新たな観光資源となり、「工場夜景ツアー」が盛んに開催されている。同社本社工場でも、通船川を挟んで対岸から見た夜景が人気スポットとなっているのだ。15年からは、新潟市東区主催の「工場夜景バスツアー」も企画され、すぐに定員が埋まるほど人気を集めているという。

  ツアー参加者を魅了する夜景は、実は観光のためにライトアップされたものではない。同社では「安全第一」の観点から、創業当初より24時間365日の点検を欠かさず、夜間の点検作業では従業員の安全確保のためにライトを点灯してきた。この安全を守る姿勢が、工場夜景という形で注目されるようになったわけだ。

 同社では、事業内容や企業姿勢を理解してもらうきっかけになればと、今後も東区主催の「工場夜景バスツアー」にスポットとして協力するとのことだ。

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