市販用タイヤ値上げ相次ぐ 物流費高騰を要因に

2019年07月01日

ゴムタイムス社

 市販用タイヤの値上げが相次いでいる。ブリヂストン、横浜ゴムに続き、住友ゴム工業とTOYO TIREも国内市販用タイヤのメーカー出荷価格を8月から値上げすると発表し、これで国内タイヤ4社の値上げが出そろった。全社が物流費高騰を要因としている。

 住友ゴム工業は6月21日、国内市販用タイヤのメーカー出荷価格を8月1日から値上げすると発表した。対象は、乗用車・バン用、小型トラック用、トラック・バス用、建設車両用、産業車両用、二輪車用の、いずれも夏・冬タイヤで、平均値上げ率は3%。

 TOYO TIREは6月27日、国内市販用タイヤのメーカー出荷価格を8月1日から値上げすると発表した。対象は、トーヨータイヤブランドのトラック・バス用、小型トラック用、乗車用・バン用、建設車両用・産業車両用の、いずれも夏・冬タイヤで、平均値上げ率は3%。同社はまた、ニットータイヤブランドについても、国内市販用タイヤのメーカー出荷価格を8月1日から平均3%値上げする。

 人手不足等を背景に物流費が高騰し、今後もこの傾向が続くと予測されており、両社は、企業努力だけでこれを吸収することは困難だと判断し、値上げを決定した。

 国内市販用タイヤをめぐっては、ブリヂストンが6月5日、横浜ゴムが6月14日、ピレリジャパンが6月19日に値上げを発表している。

 タイヤ各社が足並みをそろえて値上げを発表するのは、2017年以来、2年ぶりとなる。前回の値上げの際は、タイヤの主要原料である天然ゴム価格の高騰に加え、合成ゴムやカーボンブラックなど石油化学関連の原材料も高止まりしていたことを受けて、タイヤ各社が6年ぶりに値上げを実施している。

 これに対し、今年の価格改定は、各社とも物流関連費の高騰を理由に挙げているのが特徴で、物流費高騰を要因とするタイヤの値上げは、これまでに例がないと見られる。

 昨今の人手不足などに起因する物流費の高騰は、タイヤ以外の業界でも値上げの要因となっている。DICは「昨今の国内における物流コストは、輸送費や荷役費、梱包資材費などの高騰に加え、行政指導による運賃適正化の影響もあり、過去に例を見ない水準となっている」として、工業用粘着テープを5月から値上げ。また、コカ・コーラボトラーズジャパンやキリンビバレッジなど飲料各社は、物流費高騰を要因に大型ペットボトル製品の価格を今年に入り相次いで値上げした。タイヤ業界にもこうした傾向が及んだ形となっている。

 今回のタイヤ各社の値上げ幅は平均3%で、前回値上げ時の6%前後の値上げ幅より小さいものの、今年は消費税増税が10月に予定されていることもあり、タイヤの販売動向に少なからず影響が出ると予測される。

 

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