【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情17 フィリピン(上) 加藤進一

2017年06月12日

ゴムタイムス社

日系企業とゴム産業の現状

 一般的にフィリピンのゴム産業と聞くと、あまりピンとこないかもしれません。大きな自動車産業があるわけでもありませんし、進出している日系ゴム会社の数も少ないです。しかし今フィリピンが次の進出先として注目を集めています。

 現在フィリピンに進出している日本のゴム会社は、横浜ゴムがタイヤを1997年から現地生産しており、従業員が2000名以上います。工業用ゴム部品では大塚ポリテック(自動車ゴム部品)が1993年より、昭和ゴム化学工業所(一般工業用ゴム部品)が1997年より、イワカミ(カメラ用ゴム部品他)が1996年より、中西金属工業(ベアリングシールリテーナー部品)が1997年より、宮坂ゴム(自動車ゴム部品他)が1995年より、ゴムノイナキが2000年より、西海ゴム工業が1994年より、東栄化学工業が1996年に、内外ゴムが2007年に、バンドー化学が合弁で1978年に、富士工業が2007年に、力王が1978年に、市川ゴム工業が1996年に、イノアック(発泡製品)が1977年に操業開始し、会社数は少ないですが、意外と昔から日本のゴム工場が進出していました。ある意味タイよりもっと前に進出しています。

 フィリピンの地元ゴム産業で最大手はTITAN RUBBERでウェザーストリップをはじめ、各種の自動車用ゴム部品を製造しています。またゴムコンパウンドの外販も展開しています。多くのゴム会社はマニラ近辺にあります。やはり自動車のノックダウン組み立て工場がマニラ近辺にあるからでしょう。

 2016年のフィリピンの自動車生産量は年10万台(販売は年30万台)と他のアジア主要国に比べると、かなり少ない方です。しかし、昨年は自動車販売台数が前年比40%増えたとの報道もあり、ローン金利が安くなり、自動車販売が増えているので、これからのゴム部品の必要量も増えてくるでしょう。現地ノックダウン生産ではトヨタ車が多く、その次が三菱自動車です。最近では、100%フィリピン生産部品を使っての三菱車の製造が始まったとの報道もあります。

 ゴム材料面から言うと、フィリピンには天然ゴム

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