【合成ゴム特集】日本ゼオン 「ゼットポール」グローバルに能力増強

2012年08月29日

ゴムタイムス社

「ゼットポール」グローバルに能力増強 川崎工場の新プラント稼働

日本ゼオン

  • 東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル
  • TEL 03 (3216) 1772
  • WEB http://www.zeon.co.jp/

 日本ゼオンは、川崎工場内に、新しい水素化NBR「ゼットポール」の新プラント(年産500トン)の建設を進めていたが、このほど完工、8月22日、竣工式を開催した。
 この新しいゼットポールは、ポリマーデザインの自由度を飛躍的に向上させることによって、高機能化を実現したもので、水素化NBRの耐油性、耐熱性などの優れた特徴を更に改善しつつ、併せてシール性、摩耗性が大幅に向上した特殊合成ゴム。
 世界的な環境問題から、自動車市場においては、より燃焼効率の高いシステムへの移行が進み、耐熱、耐油、耐燃料油性ゴム部品の更なる長寿命化が重視されている。同社ではこの新ゼットポールが特に、自動車の吸気系ガスケット材料やミッション廻りのシール部品の耐熱性、耐圧縮永久歪性向上に優れた効果を発揮するとし、フッ素ゴム、シリコーンゴムの代替素材として本格販売を開始した。

 また、同社では、現在、国内では高岡工場に年産4千トンの「ゼットポール」の生産能力を有しているが、グローバルに需要が拡大しているのに対応、アメリカ・テキサス工場の生産能力を4千トン(年産)から1千トン増強し、2012年3月に5千トン体制としており、川崎工場の新プラントと合わせ「ゼットポール」の生産能力はグローバルベースで9500トン体制となった。
 また、低燃費タイヤ向けの溶液重合法スチレンブタジエンゴム(S-SBR)についても新プラント(第1期 年産3~4万トン、第2期 年産3~4万トン)をシンガポールのジュロン島内に建設中。
 2013年7月からの生産開始を目指している。

 国内SーSBRはフル生産

 S-SBRについては、現在、徳山工場に年産5万5千トンの生産能力を有し、フル稼働だが、同社では「特殊ゴムのゼオン」として培った独創的な技術をベースとし、S-SBRの性能向上をさらに継続していくとしている。
 足元の合成ゴム需給は、国内販売はタイヤや自動車関連の需要が旺盛であったことから堅調に推移したが、輸出販売は、特殊ゴムが中国景気の減速やヨーロッパ向けの落ち込みにより落ち込んだ。
 米国及び英国子会社では欧州需要の低迷により販売数量、売上高ともに前年同期を下回った。 また、南米及びインドなどの新興国での自動車生産拡大に伴い、H―NBR、NBR、ヒドリンゴムなどの特殊ゴムの需要が旺盛で、引き続き販売網の拡充・強化に注力していく方針。
 タイのゼオンアドバンストポリミクス(年産4万5千トン)の自動車部品向けCMBはタイ洪水の影響から順調に回復したが、中国のCMB拠点の瑞翁化工(広州)有限公司では、日系メーカーの自動車減産の影響で需要がダウンした。 
 下期以降の需要見通しについては先行き不透明としながらも、国内需要は堅調推移とし、海外需要については新興国向けはじめ現地ローカル部品メーカーへの積極拡販を図っていくとしている。

(2012年8月27日紙面掲載)

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