東レは3月27日、昨今の中東情勢の緊迫化、とりわけイランを巡る軍事的衝突およびホルムズ海峡の事実上の封鎖を起因とする、原油・ナフサ等の原料価格の急激かつ大幅な上昇を受け、一部の製品に対してサーチャージ的な価格運用を緊急措置として導入することを発表した。
対象となる製品は、原油・ナフサといった石化由来の原料価格動向の影響を直接的に受ける、機能化成品、炭素繊維複合材料、繊維等を中心とする。具体的には、各製品の取り扱い部署が、対象製品や条件等を含め、顧客との間で個別に丁寧な協議を行い、理解を得ながら進めていく。
なお緊急措置である性質上、既に一部では適用を開始しており今後順次拡大していくが、市場環境や原料価格の動向を踏まえ、一定期間ごとに見直しを実施していく考えである。
またこの運用は、恒久的な価格改定ではなく、今般の外部環境の急激な変化に機動的に対応するための暫定的な緊急措置となる。
世界経済は、今年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃に始まった中東情勢の悪化が、ホルムズ海峡封鎖に伴う原燃料価格や物流費の高騰、原料調達への支障といった新たなリスク要因として影を落としている。また中国経済の停滞継続や予断を許さない米国関税政策の動向もあり、先行きの不透明感は増大する一方である。
そのような中、原油価格は「令和のオイルショック」とメディアで言われるほどの急激な高騰を見せており、従来のように自助努力によるコスト吸収を前提とした価格決定のスピード感では、この先々の安定的な生産を維持することが難しい局面になっていると言わざるを得ない。
現在は、よりスピード感のある経営判断が求められており、環境変化に即応できる柔軟な戦略によって、サプライチェーンの再構築や新市場開拓、技術投資などを迅速に進めることが、持続的な成長に必要とされている。
今回の新たな価格設定の考え方の導入は、顧客と同社の間での価格交渉というプロセスを効率化し、サプライチェーンにおける意思決定のスピードを高めることで、現在の世界における難局を乗り切る手段の一環でもあると考えている。
また、現時点で調達懸念が起こりつつある原料も中にはあるが、同社として引き続き継続供給に向けて最大限の努力を行っていくとしている。
