年頭所感 旭化成 工藤幸四郎代表取締役社長

2026年01月08日

ゴムタイムス社

 皆さん、明けましておめでとうございます。

 昨年は米トランプ政権誕生を受け、関税が政治的問題として顕在化したほか、中国の覇権主義が一段と鮮明になりました。ウクライナ戦争やガザ紛争も長期化の様相を呈し、世界情勢はこれまで以上に不確実性が増す一年となりました。この状況下において私たちは、そして旭化成はどのように成長していくべきか。2026年を、共に考え、確実に実行していく一年とするために、年初に当たり、今日は皆さんに3つのことをお話ししたいと思います。

 まず、一つ目ですが、旭化成の「チーム力」を如何なく発揮してほしいと思います。
 領域経営にさらに磨きをかけ、この不確実な時代において大きな波にも揺らぐことのない経営を進めていくことが、強みを生かし、変化にしなやかに対応する「旭化成らしさ」の具現化につながると考えています。住宅領域においてはホームズと建材による「共創」のさらなる進化を期待しています。ヘルスケア領域では、バイオ関連を中心に、医薬、医療の枠を超えたコラボレーションの広がりに大いに期待しています。一方、マテリアル領域では、2025年4月からワンマテリアル体制への移行を踏まえ、人財活用をはじめとするリソースアロケーションを大胆に見直しており、領域全体としての競争力強化を図っています。
 加えて、今年はコーポレートスタッフが各領域に深く貢献することを強く意識し、コスト面、機能面の双方を強化することで、全社一丸となった領域経営を目指していきたいと考えています。
 こうしたなか、私たち一人ひとりにおいても、不確実な時代を乗り切っていくためには、チームメンバーとの信頼関係を醸成するとともに自らの実力を高め、チームに貢献する意識、すなわち「One for All,All for One」の精神が極めて重要だと考えています。旭化成の個々の力を結集し、成果へとつなげていく「パッキング力」をさらに強くし、今年一年、会社も皆さん一人ひとりも共に成長していく年にしていきたいと思います。

 二つ目は、素材の力を我々自身が再認識し、その素材の力により世界に存在感を示したいということです。
 就職人気企業ランキングをみると、その上位には、総合商社、銀行、コンサル、不動産、アミューズメント業界等の企業が名を連ね、優秀な理系人財ですら、そのような会社に就職している状況です。また、株式市場においても、株価上昇率が高いのは上記の企業群に加え、半導体銘柄、防衛関連銘柄であり、素材産業の評価は必ずしも十分とは言えません。一方で、日本の製造業の強みは何かと問われると、素材産業であるという答えが多く聞かれます。この評価と実力のギャップを解消し、素材産業が持つ本来の価値と可能性を社会に示していくことが、優秀な学生の獲得や企業価値の向上につながるだけでなく、製造拠点を多く有する地方経済の活性化を通じて都市部と地方の格差解消につながるものと考えています。旭化成が保持している素材の力を、多様な分野での活用へと広げ、市場開拓を進めると同時に、当社が中心となった企業間アライアンスを推進することで素材による新たな価値創出に挑戦していきたいと思います。
 素材産業が再び日本経済を支える存在であることを示していく一年とするために、是非とも力を合わせていきましょう。

 最後ですが、私たちの仕事は、未来の旭化成を創ることであるということを胸に刻み、一つひとつの仕事に取り組んでほしいと思います。
 奈良の薬師寺再建で有名な宮大工(名工)の西岡常一さんは、「我々の仕事の評価自体を我々は聞くことがない。何十年、何百年先の人びとが我々の仕事の評価をしてくれる。」と語っています。また、職人の方々に向けて「あんたたちには心のこもった仕事を頼みたい。労働やなくて仕事や。」とも述べています。これらの言葉を私たち自身の仕事に重ねて考えてみると、私たちの仕事もまた、未来の旭化成社員やステークホルダーによって評価されるものだと言えるでしょう。だからこそ、将来にわたって良い評価を得られるよう、一つひとつ「心のこもった仕事」をしていくことが今を働く私たちに求められているのだと思います。
 2030年、あるいはその先の旭化成のために、今年一年何をなすべきかを真剣に考え、確実に実行する年にしたいと考えています。

 激しい変化に一喜一憂せず、皆さんと共に未来の旭化成を創る歩みを着実に進めていける、そのような一年になることを心から願っています。

 

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