島津製作所がUEP測定器を発売 用途に応じた2種類を同時発売

2025年12月18日

ゴムタイムス社

 島津製作所は12月15日、海洋構造物の腐食などで発生する水中電界(Underwater Electric Potential、UEP)について、構造物に触れずに高感度で測るUEP測定器「CF100」「CF110」を同日発売したことを発表した。水中電界とは水の中に生じる電気の力(電場)のことである。腐食に起因する水中電界の測定により、構造物の腐食モニタリングや腐食部位の特定が可能となる。「CF100」は自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle=AUV)や遠隔操作型無人潜水機(Remotely Operated Vehicle=ROV、水中ドローン)などの水中ロボットへの組み込みを想定して制御器を基板型に、「CF110」は潜水士による携帯や実験施設での使用を念頭に制御器を卓上型にしている。

 UEP測定器は構造物に生物が付着した状態でも、非接触による水中電界を測定できる。同社はデュアルユース(軍民両用)の技術として水中ロボットメーカー、エンジニアリング会社、資源探査会社、防衛省などに特別仕様機を提供していたが、このたび正式に量産機を発売することになった。同社は2020年から大容量データの高速通信と低消費電力を両立する、水中光無線通信装置「MC」シリーズも販売しており、海をフィールドとする企業や研究機関による「海洋開発のDX(デジタルトランスフォーメーション)」に貢献していく。

 新製品の特長は、1点目が微小な電界の変化を見逃さない点となる。 世界最高級の高分解能(10μVpーp)で、潮流が激しい海域や、構造物に生物が付着した状態でも、非接触で微小な電界をリアルタイムで測定する。測定データは専用ソフトウエアで保存・ファイル作成などを行える。
 2点目は水深3000メートルでも使用可である点となる。UEP測定器を構成するセンサ部分、ケーブルは水深3000メートルまで使用可能となる。センサは小型・軽量であるため持ち運びが容易である。
 3点目は用途に応じた2種類を同時発売している点となる。「水中ロボットへの搭載」「潜水士による使用」いずれにも対応すべく2種類のUEP測定器を同時に発売した。測定精度や耐水圧、動作温度などの基本仕様は共通となる。

製品写真:UEP測定器「CF100」

UEP測定器「CF100」

製品写真:UEP測定器「CF110」

UEP測定器「CF110」

製品写真:水中ドローンに搭載したUEP測定器「CF100」

水中ドローンに搭載したUEP測定器「CF100」(赤枠内)

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