旭化成は12月12日、同社が開発した医薬品向け包材であるPTPフタ材に関する特許技術を、2025年11月28日に、TOPPANホールディングスに譲渡したことを発表した。
近年、欧州をはじめとする世界的な包装材リサイクルに関する法規制の強化や、企業のサステナビリティへの取り組みの加速により、医薬品包材におけるリサイクル対応ニーズが急速に高まっている。
錠剤やカプセルの包装として世界的に広く普及しているPTP包装は、現在は樹脂(底材)とアルミ箔(フタ材)で作られているものが主流で、複数の素材で構成されているためリサイクルが困難であった。そのためフタ材にも樹脂を使用するモノマテリアル化が期待されている。
同社の樹脂加工技術を基盤に、高度なフィルム設計や成膜の技術を応用することで、プッシュスルー性(破れにくく薬剤を押し出しやすい適切な強度)を維持しつつ、同素材の材材と組み合わせることでモノマテリアル化を可能にするPTPフタ材技術を開発した。
今回、この特許技術をTOPPANホールディングスに譲渡し、TOPPANホールディングスの技術・ノウハウと掛け合わせて活用することで、医薬品包材のサステナブル化に貢献する。
本件は、同社の無形資産を活用した新規事業創出プロジェクト「TBC(Technologyーvalue Business Creation)」の取り組みの一環である。同社は2025年4月に発表した『中期経営計画2027~Trailblaze Together~』のもと、研究開発においては「変わる未来のはじまりを。」を理念に掲げ、特許やノウハウ、データ、アルゴリズムなどの無形資産を活用した「TBC」を推進している。これは同社が保有する豊富な無形資産を多様な形態で提供・活用し、収益化を図る取り組みである。このアプローチにより、スピード感と資産効率を両立した新規事業創出が可能となり、顧客やパートナーに最大限の価値を提供する。こうした無形資産活用によるビジネスを2025~2027年度で10件以上生み出し、2030年頃までの累積利益貢献で100億円以上を目指している。


