6割強が営業増益に 上場ゴム企業の4~9月期

2025年12月01日

ゴムタイムス社

 主要上場ゴム関連企業の26年3月期第2四半期連結決算が出揃った。26年3月期第2四半期は減収減益企業は4社となった。21社合計の売上高は2兆210億4300万円で前年同期比1・4%減となった。21社のうち増収企業は9社(前年同期は15社)となり、増収企業は全体の約4割となった。
 26年3月期第2四半期を取り巻く事業環境をみると、インフレや円安による資源価格、物価上昇、さらに米国の関税政策などにより不透明な状況が続いた。こうした事業環境下、ゴム産業の主要な需要先である自動車業界では、国内の自動車メーカー各社の生産台数は各メーカーでまだら模様の状況にある。このため、受注車種の生産台数の増減により自動車向けゴム部品を手掛けるゴム企業の売上高も差が生じている。
 自動車業界以外では、工作機械や射出成形機など一般産業機械向けのゴム部品は中国を中心に輸出が停滞。建設機械向けは、設備投資意欲の低下や米国の関税政策の影響を起因とし、国内・輸出とも伸び悩みの状況が続いている。
 増収企業でもっとも増加率が高かったのは櫻護謨で同28・3%増となった。同社は消防・防災事業と航空・宇宙、工業用品事業を展開しており、消防・防災事業の売上高は同26・3%増、航空・宇宙、工業用品事業の売上高は33・2%増と前年同期に比べて大幅な増収となった。「消防・防災事業では例年と比べ当期前半からの納入案件が多く、航空・宇宙、工業用品事業では量産機体部品の販売が堅調に推移したことが増収に寄与した」(同社)としている。
 次に増収率が高かったのが朝日ラバーの同5・2%増。主力事業の工業用ゴム事業では、自動車向け内装照明用は減少したが、スイッチ用など精密用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーの受注増加し、事業全体は増収となった。医療・衛生用ゴム事業は13・3%の増収。診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓の増加などが要因とみられる。
 21社合計の営業利益は1252億8900万円で同4・9%増となった。このうち、営業増益企業は豊田合成、日本ゼオン、住友理工、ENEOS(機能材事業)、三ツ星ベルト、バンドー化学、藤倉コンポジット、ニッタ、バルカー、タイガースポリマー、不二ラテックス、ナンシン、アキレス、相模ゴム工業の14社。アキレスとナンシンは黒字転換した。
 増益率をみると、相模ゴム工業は3桁増益、2桁増益となったのは不二ラテックス(前年同期比84・0%増)、タイガースポリマー(同29・9%増)、バルカー(同24・6%増)、藤倉コンポジット(同19・3%増)、日本ゼオン(同15・2%増)、豊田合成(同14・0%増)の6社。原材料価格の高止まりに加えて、労務費などの経費の上昇などがあるものの、売上の増加や取引条件の適正化、徹底したコスト低減活動などで増益を確保した企業が多かった。
 一方、減益企業はNOK、西川ゴム工業、オカモト、フコクなど7社。櫻護謨と昭和HDは営業損失となっている。
 経常利益は1315億5900万円で同14・9%増。なお、豊田合成と住友理工、バンドー化学は国際会計基準(IFRS)を採用しているため、3社の経常利益は便宜的に税引前利益の数値を使用している。
 四半期純利益は1035億2900万円で同25・5%増となった。純利益が前年同期を上回ったのは日本ゼオン、バンドー化学、タイガースポリマーなど9社。このうち朝日ラバーは黒字転換した。
 26年3月期通期の連結業績予想において増収営業増益を予想する企業は8社。なお、第2四半期の業績発表時に通期予想を修正したのは豊田合成、NOK、住友理工、バンドー化学、アキレス、西川ゴム工業の6社となっている。
 豊田合成は売上収益、営業利益、税引前利益、純利益いずれも前回発表の数値を上方修正した。住友理工は売上高と事業利益、純利益は前回発表を上方修正した一方、税引前利益は据え置いたほか、営業利益は前回発表を下方修正した。主な修正理由は第2四半期(中間期)における売上高、利益の変動に加え、事業構造改善費用の追加を加味した。
 その他、バンドー化学は売上収益とコア営業利益、純利益を前回発表を上方修正した。売上収益は現地通貨ベースで堅調に推移するほか、前年度に発生した加古川工場における雹災事故にかかる受け取り保険金を計上したことで予想を上回る見込み。西川ゴム工業は、同社受注台数の増加により売上は前回予想を上回る見込み。利益は売上増に加え、為替の寄与や更正処分の取消しに伴う過年度法人税などの還付金などにより前回発表を上回ると予想している。[/hidepost]

全文:約1913文字

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー