信越化学、困難なリサイクルを実現 熱可塑性シリコーンを開発

2025年11月11日

ゴムタイムス社

 信越化学工業は11月7日、ケイ素化学を駆使した課題解決の一環として、これまで困難だったリサイクルを実現する熱可塑性シリコーンを開発したことを発表した。

 プラスチック・ゴム製品は、「熱可塑性」タイプと、「熱硬化性」タイプの二つに分類される。「熱可塑性」タイプは熱を加えると軟化・流動化し、冷却すると固化するもので、リサイクルが可能である。一方、「熱硬化性」タイプは熱を加えると硬化するもので、リサイクルは困難である。シリコーンゴムは、一般的には「熱硬化性」に分類されている。

 今回、開発した熱可塑性シリコーンは、長年培ってきたポリマー変性技術を駆使することで、従来のシリコーンゴムにはない特長を実現した。同社の熱可塑性シリコーンは、ゴムのように弾力性のあるものからプラスチックのように固いものまで、顧客のニーズに合った製品を提供することが可能。製品の特長から、モバイル機器やスポーツ用品などの肌に触れる部分のゴム部品、医療や介護などに用いられる各種機器の表面コーティングなど、従来のシリコーンゴムとは異なる用途を想定している。主な特長としては、まず熱可塑性のため、リサイクルが可能な点。2つ目は従来のシリコーンゴムとは異なり、高硬度(ショアA80以上)でも高伸長(切断時の伸び:800%以上)の特性を有している点。3つ目は無機粉体(シリカなど)を含有していないため透明性に優れ、着色も可能な点。4つ目は加工性に優れ、プラスチックと同様の射出成形が可能。5つ目は溶剤タイプにすることが可能で、コーティング用途にも展開できる。6つ目は肌合いが良く、シリコーンならではの柔らかな感触を有している。

 

成形前のペレット形状

成形前のペレット形状

着色した成形サンプル

着色した成形サンプル

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