日本ゼオンは11月6日、昨年に引き続き「第20回高校化学グランドコンテスト(主催:芝浦工業大学)」に特別協賛したことを発表した。同コンテストは、高校生および高等専門学校生(3年生以下)が行っている「学習研究活動」を支援し、高校生自らが自主的な探究活動を楽しみながら科学的な創造力を培い、将来科学分野で活躍できる人材の育成を目的とし、2004年から開催されている。同社は同コンテストの趣旨に賛同して2023年より特別協賛しており、同社独自の視点で選考する「日本ゼオン・チャレンジ賞」は、「高濃度溶液における凝固点降下」をテーマにした福井県立藤島高等学校に贈られた。
「化学の甲子園」とも称される同コンテストの最終選考会は10月25~26日にかけて東京都内で開催され、書類による1次審査を通過した全国115チームにより、ポスター発表100件、口頭発表10件が行われ、2日間で延べ900人以上が参加した。同社は今後も同コンテストへの協賛を通じて、次世代を担う人材育成を支援していくとしている。
福井県立藤島高等学校の生徒は、「理系ならば誰もが教科書で習い、実生活でも体験する凝固点降下という現象であるが、よく教科書を読んでみると『希薄』溶液の性質として紹介されている。高濃度水溶液だとどうなるのだろうか。こんな素朴な疑問から私達の研究は始まった。温度を測定する研究ということもあって実験手法の確立に苦労したが、仮説から新しい公式をつくることができたことに感動した。今回このような賞に選んでいただいたことに、心から感謝申し上げる」と受賞コメントを寄せた。
同社は、「凝固点降下の論理式において、高濃度領域で起こる計算値と実験値の差異を自分たちで実際に検証・理解したうえで、原理解明にチャレンジしてくれた点を高く評価した。計算値と実験値で差異が生じることを好ましくない情報だと受け取り、興味や疑問を持たない人も多いと思うが、大事なことは、現象の原因を理解するところにある。好ましくない情報であっても本質を理解すると新しい発見に繋がることがある。これからも疑問を持つことを大切にして、研究を続けていって欲しい」とコメントしている。


