TOYOTIREは11月4日、大阪市のリーガロイヤルホテル大阪で創立80周年記念謝恩レセプションを盛大に開催した。会場には取引先等の関係会社をはじめ、同社取締役や社員ら約700名が出席し、80年の節目を祝った。
冒頭、同社80周年に関する記念映像をVTRで紹介した後、挨拶に立った清水隆史社長は「TOYOTIREは本年、創立80周年を迎えることができた。これもひとえに弊社製品をご愛顧頂いてきたお客様、様々なお立場のご関係各位より頂戴した多大なるご支援の賜物に他なりません」と御礼を述べ、創業からの歴史を「初代社長、富久力松は戦後まもない混乱期にも、常に技術を磨いて事業の軸に据え、苦境を乗り越えようとする逞しい黎明期をつくった。そして、高度経済成長の波を捉え、海外の先進的な同業他社様から技術を学び、世界にも喜ばれる商品を届けようと積極果敢に挑んだ成長期へと弊社の歴史は移行してきた」とし、「そして2015年、見過ごされていた不祥事が明るみとなり、あってはならない不正によって、弊社は社会から信頼を失った。競争環境が激化するなか、本来、発展を期すべき大切なときに、目の前で経営基盤が揺らいでいき、存亡の危機に直面する中で経営を任された私は、まさに、火中の栗を拾うような思いで社長に就任した」と振り返った。
その後の対応については「免震ゴムの交換改修、再発防止策の徹底遂行、本業での収益持続、どれ1つとっても、難度の高い経営課題を3つ同時に取り組まねばならなかった。振り返ると10年間、社運を賭けて建て直しに向き合い、逃げずに一意専心、経営改革と意識変革を重ねてきた。まず、常に立ち返る原点として、私たちの社会的な使命を明文化し、理念を制定し直した。また、事業部の垣根を取り払い、各機能の連携を促す機能別組織を導入。フラットで機動性が高く、同時にガバナンスが強化される組織体制へと移行した。2017年、創業ゆかりの地の一つである伊丹市に本社を移転、2018年に三菱商事様と資本業務提携を結ばせていただいた。モビリティ分野を特化的に事業の中核に据える経営体となった2019年には、タイヤを冠するTOYO TIRE株式会社へ社名を変更、これを「第二の創業」として事業経営の強化、底上げに注力し、企業ステージをもう一段高める意を固くした。三菱商事様からは多くの優秀な人材の力をお借りし、資本も強化した」と話し、その結果「本年度を最終着地年とする「中計21」では、次世代技術の研鑽や世界R&D体制の確立、DXやサステナブル経営の推進など、全方位に揺るぎない意志を込めて取り組んでおり、計画に掲げた目標をおよそすべて達成する見込みだ」とこれまでの取り組みと成果を振り返った。
そして、最後に清水社長は「奇しくも本年、免震ゴム問題の発表から10年目を迎えた。多くの皆様にご迷惑をお掛けしたが、必要対処の完遂まであと一歩というところまで漕ぎ着けた。規模では他者に劣後する弊社が追いかけてきたのは、「質」と「スピード」。差別化技術によって裏づけされた独自性、そして、収益性の高い高付加価値商品の具現化を追求することによって、クルマ文化の本場である北米を中心に、得意領域での競争力を高めてきた。2010年、北米ホールディングスのCEOに就いて後、北米事業を皮切りとした収益改革を15年にわたって注力してきた結果、営業利益額は当時の8倍近く、営業利益率は4%から、今16%を超える、業界でも抜きん出たポジションに達するところにまで成長を果たした」と話し、「80年前の創業期、弊社はマイナスからの船出を感じさせな
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