日本ゼオンは10月30日、決算説明会を開催し、松浦一慶取締役常務執行役員・基盤事業本部長、曽根芳之取締役常務執行役員・管理本部長らが25年度第2四半期(4~9月)決算を説明した。
売上高が2064億7100万円で前年同期比3・2%減、営業利益が193億5200万円で同15・2%増、経常利益が191億3300万円で同2・9%増、純利益が223億500万円で同81・3%増となった。
セグメント別では、エラストマー素材事業の売上高は1125億4500万円で前年同期比7%減、営業利益は65億400万円で同8%増で減収増益となった。
第2四半期のエラストマー素材事業について、曽根氏は「合成ゴムを中心に海外の市況が悪化しており、また原料価格の下落により販売価格が下落したが、化成品の市況価格が持ちこたえ、営業利益を押し上げた」と総括した。
同事業のセグメント別について、合成ゴムは、海外タイヤ向けを中心に市況低調による需要の伸び悩みに加え、原料価格下落による販売価格下落や為替円高の影響を受け減収減益だった。
合成ラテックスにおいては、医療・衛生用手袋の需給緩和状態の長期化に加え、原料価格下落による販売価格下落や為替円高の影響を受け減収減益。ただし、対前年同期比では販管費が減少したため増益となった。
化成品では、海外の一部地域で粘着テープ・ラベル向けの需要の減退により減収。対前年同期比は、一部顧客の販売価格改定により増益だったが、前四半期比は原料価格下落により販売価格は下落したほか、水島工場の定期検査が完了し、生産ライン立ち上げ時の固定費単価悪化や良品外発生による棚卸資産関連費用の増加により減益となった。
汎用ゴムや特殊ゴムの動向について、「特殊ゴムは、対前年同期比および前四半期比ともに国内向けの堅調な自動車生産に支えられ、総じて出荷は堅調だった。汎用ゴムは対前年同期比および前四半期比ともに、海外を中心に市況は低調なため、出荷減となった。業績予想には織り込み済みであり、想定線の動きだ」(曽根氏)。
下半期の合成ゴム(特殊ゴム・汎用ゴム)および合成ラテックスの需要見通しについて、「合成ラテックスは需給バランスが崩れたまま継続している。マレーシア市場では流通在庫がダブついているため、下半期も回復が期待できない」(松浦氏)。
また、特殊ゴムについては「国内需要は堅調と捉えており、欧州の動向にもよるが、堅調に推移するだろう。しかし、汎用ゴムについては、工業用の汎用ゴムはアジア地区の景気に大きく影響を受ける傾向がある。そのためアジア地区の内需が弱く、下半期もこの傾向が続く」(松浦氏)という。一方、タイヤ用のSSBRでは「SSBRの全体の需要は弱含みではあるが、当社は特殊なSSBRをラインナップとして持っているため、中国向けを含め、欧州を中心に増販する計画を立てている」(松浦氏)。
25年度通期業績予想は7月30日に公開した数値を据え置き、売上高は4150億円で同1・3%減、営業利益は305億円で4・0%増、経常利益は300億円で同9・2%減、当期純利益は280億円で同6・9%増を見込んでいる。だだし、セグメント別で入り組みを調整。光学フィルムは上半期、下半期ともに出荷が増加し、COP出荷は上半期から下半期へ出荷ずれすると見ている。一方エラストマー素材については、合成ゴムは7月予想に対し、出荷増のため増収増益を見込んでいるが、化成品と合成ラテックスの市況が悪化しており、予想よりも事業が低調となっていることから、現時点ではトータルで下半期の予想通りの着地と見込んでいる。[/hidepost]
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