出光興産は10月9日、ベトナム・ザライ省(旧ビンディン省)にバイオマス燃料であるブラックペレット(BP)生産工場を建設し、10月8日に商業運転を開始したと発表した。
同工場はベトナム初のBP生産工場で、年産12万tの製造能力を持つ、世界でも最大規模の工場となる。石炭を使用している主に日本国内のユーザーの脱炭素を実現するための代替燃料として、同工場で生産されるBP(商品名・出光グリーンエナジーペレット、IGEP)を供給する。
BPは樹木などのバイオマスを加熱処理したエネルギー資源で、燃焼時にCO2を排出するものの、原料の植物が育つ過程でCO2を吸収するため、差し引きをして「カーボンニュートラル」とされている。IGEPは石炭を使用しているユーザーの脱炭素ニーズに対応した商品となる。
同社はベトナムにて2020年から小規模なデモプラントを操業してきた。これまで、日本国内約20社のユーザーにIGEPを試験利用してもらい、石炭の代替燃料として利用可能との評価を得てきた。IGEPは一般に普及している木質ペレットを半炭化した高カロリー燃料であり、他のバイオマス燃料と比較して石炭に近い取り扱いが可能であるため使用に際し石炭用の既存設備の大規模な改造は必要なく、スムーズな燃料転換が可能となる。
同社は、2030年ビジョン「責任ある変革者」の下、年間300万tのBP供給という目標を掲げた。今後も、エネルギーの安定供給の使命を果たしながら、石炭を使用しているユーザーの脱炭素に貢献していく。また雇用創出や持続可能な森林利用などを通し、ベトナム社会の発展にも寄与していく。
2025年10月14日


