レゾナック、アクシオム・スペースと締結 宇宙での半導体製造技術革新に向け

2025年10月02日

ゴムタイムス社

 商業用宇宙インフラ分野をリードする米国のAxiom Spaceと、レゾナックは10月1日、宇宙空間での高機能半導体材料の研究・開発・製造に関する覚書(MOU)を締結したことを発表した。本合意により、微小重力環境を活用した次世代半導体関連技術の進化、宇宙での半導体製造の市場創出の可能性が広がる。

 本合意の下、両社は、微小重力および低軌道の真空条件下で、半導体や半導体パッケージング向けの次世代半導体材料製造の可能性を探る。微小重力環境下では対流や沈殿が発生しないため、欠陥のない半導体バルク結晶や樹脂、2次元材料の生成が可能となる。本プロジェクトでは、国際宇宙ステーション(ISS)やアクシオム・スペースの軌道プラットフォーム、将来設計される予定のアクシオム・ステーションを活用し、概念実証から商業規模での製造へと段階的に進める予定となっている。

 本合意の一環として、レゾナックは、現在アクシオム・スペースと取り組んでいるプロジェクトも拡大する計画である。本プロジェクトでは、宇宙放射線により半導体デバイスに発生するソフトエラーを低減させる封止材の開発を進めている。ソフトエラーは、宇宙線がトランジスタに入り電子を散乱させることで、情報の最小単位であるビットが反転して生じる現象である。この課題に対応するため、レゾナックは、国際宇宙ステーション内外で封止材の試作品を評価する。

 アクシオム・スペースの宇宙飛行士兼CTOである若田光一氏は、「レゾナックとの協業は、アクシオム・スペースがいかに世界中の企業と連携し、宇宙を活用して半導体のような重要な技術分野でイノベーションを推進しているかを示している。」と述べている。

Axiom Space若田光一氏(左)とレゾナックCTO福島正人氏(右)

Axiom Space若田光一氏(左)とレゾナックCTO福島正人氏(右)

宇宙環境では、低欠陥で大型化が可能なSiC(炭化ケイ素)などのパワーエレクトロニクス材料の開発ポテンシャルが期待される

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