住友化学が韓国ベンチャー買収 フィルムアンテナ事業拡大へ

2025年03月19日

ゴムタイムス社

 住友化学は3月18日、韓国子会社の東友ファインケムを通じて、韓国の無線通信モジュール・ベンチャー企業であるHUCOM WIRELESSを買収した事を発表した。この買収により、ヒューコムの高度な通信モジュール設計技術と市場アクセスを獲得し、川下ニーズに応じたフィルムアンテナの開発・事業化を加速する。

 次世代通信分野においては、IoTや大容量・高速通信のニーズが拡大するなか、Beyond 5Gに対応するアンテナ市場が急成長している。高速通信向けフィルムアンテナをはじめとする高機能アンテナの需要は、2030年代前半には1000億円規模に達すると予想されている。

 東友ファインケムは、カラーフィルターやタッチセンサー事業を通じて培った回路形成や精密積層加工技術を強みとしており、次世代通信対応スマートフォンなど向けに、フィルム基材上に極微細金属配線を形成したシート状のアンテナ(フィルムアンテナ)の開発に取り組んできた。東友ファインケムの製品は、精密微細加工や透明性に優れ、2024年には韓国の公共交通機関向けに採用されるなど、市場開拓が進んでいる。

 ヒューコムは、2016年に設立され、ネットワーク通信モジュールの設計および販売を行っている。ヒューコムのモジュール設計や制御系ソフトウェアは、韓国大手通信各社向けに採用されるなど、高く評価されており、同国内に広範な顧客ネットワークを構築している。

 今回の買収により、東友ファインケムはフィルムアンテナから通信モジュールまでの一貫開発体制およびバリューチェーンを構築することが可能となる。東友ファインケムとヒューコムが互いに有する技術開発力や事業ネットワークの融合により開発を加速し、拡大する需要に対してタイムリーにトータルソリューションを提供することで、事業拡大を図る。

 同社グループは、今後もスマート社会の実現を目指し、革新的な通信デバイスや材料の開発・事業化に取り組んでいくとしている。

東友ファインケム製フィルムアンテナ

東友ファインケム製フィルムアンテナ

ヒューコム製通信モジュール

ヒューコム製通信モジュール

 

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