三菱ケミHD、製造能力増強 リチウムイオン電池向け負極材

2022年06月08日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルホールディングスは5月30日、同社グループの中国のグループ会社である青島雅能都化成(中国・山東省青島)および関連会社である青島菱達化成(中国・山東省青島)において、リチウムイオン電池向けの新規開発製品である低膨張を特長とする天然系負極材の製造能力を、現在の2000t/年から1万2000t/年に増強することを決定したと発表した。また、負極材の供給体制について、従来の日本および中国に加えて欧米での製造販売の検討を開始した。

 負極材は人造系黒鉛もしくは天然系黒鉛を原料とするが、同社グループは製造工程でGHG排出量が少なく、ライフサイクルアセスメントに優れた天然系黒鉛を原料とした製品に強みを持っている。加えて、同社グループは、独自開発の新技術(特許取得済)により電池寿命に影響する膨張を抑制し、人造系黒鉛の性能を上回るグレードを新たに開発し、展開している。今回、青島雅能都化成および青島菱達化成において同グレードの製造ラインの能力増強を行い、2023年度前半の稼働を予定している。

 一方で、自動車メーカーおよび電池セルメーカーのサプライチェーン戦略により、車載用途電池を欧州や北米で現地製造する動きが活発化している。同社グループはその需要にも対応するため、黒鉛鉱山を保有する海外企業と協業することで天然黒鉛原料の安定確保と欧米での製造販売の検討を開始する。その第一歩として、同社グループは今年5月、モザンビークの鉱山で鱗片黒鉛を製造し、米国で負極材製造を行うSyrah Resources(Syrah社)およびノルウェーに稼働中の鉱山を保有し、オーストラリアでも立ち上げ検討中の黒鉛プロジェクトを持つMineral Commodities(MRC社)と協業に向けた覚書を締結した。同社グループの負極材製造技術とSyrah社およびMRC社が採掘する黒鉛が適合するか技術評価を行い、今後の協業内容について検討していく。

 

負極材

負極材

青島雅能都化成

青島雅能都化成

 

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー