タイヤ使用状態推定モデル TOYO TIREが構築

2020年07月28日

ゴムタイムス社

 TOYO TIREは7月22日、トラックやバスなど運輸車両の個別運行状況に応じ、装着されているタイヤの状態変化をはじめ、走行環境情報を自動的に収集し蓄積するシステムを開発、また、このシステムで収集したデータに、個々のタイヤの既定情報や天候データなど外部情報を加え、AIを駆使してタイヤの使用(摩耗)状態を推定するモデルを構築したと発表した。

 同社はタイヤメーカーとして、タイヤのメンテナンスという側面から、ロジスティクスの安全と効率を充足するアプローチについて、その可能性を探索してきた。特に運輸業界においては、1~3カ月ごとに、人が計測機器を用いて1本ずつタイヤの溝の深さを測定し、摩耗の点検をしていることから、新しいソリューションとして、実測することなく適正にタイヤ使用状態を管理、メンテナンスしていくことができる推定モデルを実現した。今後は同モデルを運輸事業向けのビジネスモデルとして構築し、タイヤメーカーならではのメンテナンス・サポートの確立を進めていく。

 また、同社は、トラックやバスなど運輸車両のホイールに装着したセンサー(TPMS)によって、空気圧や内部温度といったタイヤの状態をデータとして自動収集し、全地球測位システム(GPS)によって得られる位置情報や車両の加速度情報などと合わせて、リアルタイムでクラウドに蓄積する独自の情報集積システムを開発した。これは、個別の車両運行状況によって異なるタイヤへの負荷や経年変化について、その推定確度を高めるのに必要な情報を、適切かつ自動的に収集、蓄積されるようシステム化したもので、同社は、この生きたデータを運輸事業者の車両メンテナンス管理に活用していくという構想を具現化していく。

 さらに情報自動集積システムに蓄積されたデータをもとに、より高い精度でタイヤの使用状態を推定し把握できるように、タイヤそのもののマスター情報をはじめ、外部データベースから取得した天候データなどを統合するとともに、AI技術を用いてデータ解析処理を行なう。実証実験を重ね、運行状況によって異なる各運輸車両のタイヤ使用状態、タイヤの摩耗進行度合いを、個別に実測することなくデジタル環境の中で推定することができるモデルを構築した。

 今回のメンテナンス・ソリューションは、今後、タイヤの寿命を長持ちさせるような使用方法(交換ローテーションや最適運行ルートの提示、運転方法のアドバイスなど)や顧客のニーズに合ったタイヤの提案など、安全やコスト低減といった課題解決にもつなげていくことができるとしている。

 

 

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