合成ゴムメーカー生産調整へ 自動車関連の需要低迷受け

2020年07月03日

ゴムタイムス社

前回に続き、新型コロナウイルスの影響によるゴム業界の動き、そして今後の動向を加藤事務所の加藤進一社長に聞いた。

 ◆ゴム材料の影響は。

 ブタジエンの市況を振り返ると、標準は$1000/MTとなっており、$900/MTに下がったときには安くなったと感じたが、今年3月頃にはブタジエン価格が$700/MTまで下がり、さらに安くなったと感じていた。だが、今回の新型コロナの影響で今では$370/MTとなっている。

 そのような環境下、合成ゴムを生産する日本の化学企業は、生産を止めずに今までは稼働率95%で動かしていたが、今回80%まで落とし生産していた。自動車関連の需要低迷により、安いブタジエンを購入したくても製品の在庫が余る状態になり、新規のブタジエン購入が進められない状況になっている。

 日本では、合成ゴムの値決め方式は3ヵ月ごとに決まる国産ナフサ価格と、アジアのブタジエン価格をベースにフォーミューラに応じ3ヵ月ごとに価格を変更している。つまり、5月の段階では㌔2~3円が上がったが、これは1~3月のナフサやブタジエンの価格で計算し5月に適応したもの。そのため、問題は8月からだ。このままナフサ安、ブタジエンの大幅下落が上乗せされ、フォーミュラベースで計算すると、8月には約㌔30円以上は下がることになるだろう。そうすると、合成ゴムの採算が悪化し、赤字になる可能性が大きい。

 天然ゴムについては、東京市場の天然ゴム(RSS、期先)は昨年の後半は㌕170円程度だったが、新型コロナの影響で4月初めには㌕130円まで下がった。6月に入ると㌕150円まで回復したものの、採算ラインは㌕180~190円程度。今の価格は完全に採算が割れている。天然ゴムの価格があまりに下がりすぎたため、天然ゴム農家からの供給が減少し、持続可能は収益を確保するためには、㌕200円程度が必要だ。

 カーボンブラックも合成ゴムと同

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