帝人子会社 アラミド繊維を黒に染色成功 「トワロンブラック」の生産開始

2011年10月03日

ゴムタイムス社

 

トワロンブラックは左と従来のトワロンは右

 帝人グループでパラ系アラミド繊維「トワロン」を生産・販売するオランダのテイジン・アラミドB・Vは「トワロン」シリーズの新製品として、元来黄色であるアラミド繊維を完全に黒く染色した「トワロンブラック」の生産・販売を開始した。
  「トワロン」は、軽量で、高強度、高弾性、耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性を備えることによりブレーキパッドやゴム補強材、タイヤコードなどの自動車用途をはじめ、光ファイバーケーブルの補強材、防護衣料、産業用のロープやケーブル、コンポジット材料などに幅広く使用されている。
 アラミド繊維の色は元来黄色で、その緻密な分子構造と高い結晶性および優れた耐薬品性により染料が浸透しにくいため、染色が困難とされてきたが、新製品は一般的な繊維の染色方法である後染めではなく、原液着色により、「トワロン」の繊維の芯まで完全に黒色に染めることに成功したもの。
 新製品は、従来の「トワロン」と比べて遜色のない特性を備えており、黒く染色することで、意匠性が重視され、顧客から黒色への要求が高かったヨットの帆やカヌーの船体補強をはじめ、テニスラケットやアイスホッケーのスティック、競技用ヘルメットなどのスポーツ用途、さらに携帯電話やPCの筐体の補強材などに幅広く採用されることが見込まれる。また、炭素繊維など他の黒色素材と組み合わせ、複合材料としてもデザイン性を損なうことなく使用できる。
 新製品は、「トワロン」の紡糸拠点であるオランダのエメン工場で製造し、「トワロン」の新たな製品バリエーションとして販売を開始していく。
 「軽量」「省エネ」「安全」「メンテナンスフリー」という市場ニーズを背景に、パラ系アラミド繊維は今後も年間7~9%の成長が見込まれているという。同社グループは、今後もアラミド繊維事業における革新的な製品・用途開発を積極的に進め、さらなる事業拡大を図っていく。

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