横浜ゴムらがナノレベルで解明 スチールコードの接着劣化抑制のメカニズム

2026年07月01日

ゴムタイムス社

 横浜ゴムは6月30日、東北大学多元物質科学研究所との共同研究により、タイヤの補強材であるスチールコードとゴムの接着界面における、有機酸コバルトの接着性および耐劣化性向上のメカニズムをナノレベルで解明することに成功したと発表した。
 同研究成果は、タイヤの安全性や耐久性を高めつつ、環境規制や供給リスクへの対応を見据えた次世代タイヤ開発において、重要な分子・材料設計指針となる知見となる。なお、同成果は2026年6月5日付で、学術誌「Rubber Chemistry and Technology」に掲載された。
 乗用車、トラック・バス、農業機械・建設車両などに使用されるタイヤには、高い剛性と形状保持性を確保するため、黄銅めっきが施されたスチールコード(金属)が補強材として用いられている。ゴムと金属の接着界面の剥離は、バーストなどの重大な構造破壊につながるため、強固な初期接着性と長期的な耐環境劣化性が求められる。現在、これらの性能を満たすためステアリン酸コバルトに代表される金属触媒をゴム中に配合する手法が広く用いられているが、長期的にはゴムの酸化劣化を促進する「金属害」を引き起こす懸念がある。
 また、コバルトは健康面への懸念や供給リスクの高い希少資源でもあり、さらに環境規制強化の観点からも、代替技術や使用量最適化の確立が課題となっている。
 同研究では、ステアリン酸コバルトを添加した天然ゴムに黄銅めっきスチールコードを埋め込み、加硫接着した試料を作製し、走査透過電子顕微鏡を用いた詳細な界面解析を行った。
 その結果、加硫後の接着界面にコバルトが高濃度で局在しているだけでなく、硫化コバルトとして存在することを世界で初めて直接観察した。また、この硫化コバルトが、黄銅めっきからゴム内部への銅と亜鉛の溶出および破壊の起点となる黄銅内部の空隙形成を抑えるバリア層として機能することで、ゴムとスチールコードの接着性・耐劣化性の向上に寄与することを明らかにした。さらに、高温高湿環境下で劣化させた試料では、主に硫化コバルトのバリア層が疎な領域で、銅と亜鉛の溶出や空隙の拡大が確認された。
 同成果は、従来は経験則に基づく部分が大きかったゴムとスチールコードの接着界面設計について、科学的知見に基づく分子設計・材料設計指針を与えるものとなる。
 同社は今後、同研究で得られた知見を活用し、より安全性と耐久性に優れたタイヤの開発を進めるとともに、環境負荷や供給リスクの低減に資する材料技術の研究開発を推進していく。

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