三菱ケミがソアノール塗工による技術を開発 フードロス削減に貢献

2025年12月25日

ゴムタイムス社

 三菱ケミカルは12月23日、食品包装材等に使われる樹脂「ソアノール」の溶液を紙基材に塗工し、ガスバリア性と耐油性を付与する技術を開発したと発表した。
 ソアノールは、同社独自技術によって開発された高いガスバリア性・耐油性・透明性を持つエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)となる。その他の樹脂と溶融させて熱成形することでフィルムやシート等の食品包装材として用いられ、食品の風味や品質を長持ちさせてフードロス削減に貢献する。
 このたび同社が開発した技術は、紙基材にソアノール溶液とアンカーコート剤を併用して塗工することで安定したバリア層を形成し、ソアノールの優れたガスバリア性や耐油性を付与することができる。
 紙包装材の耐油性を高めるためにはPFASを用いることが一般的だが、同開発技術では、高温や屈曲時でも、PFASを用いた包装材を上回る耐油性を発現する。ソアノールは食品に直接接触できる高い衛生性を有するため、フライドチキンやハンバーガー等の食品包装用途への展開を見込んでいる。各国のPFAS規制強化が進むなか、PFASを用いない耐油紙の需要増加が見込まれているため、同社は顧客での評価等を推進し、2026年度中の採用を目指す。
 同社は経営ビジョン「KAITEKI Vision35」において、「食の品質保持」を注力事業領域のひとつに挙げている。食の品質保持を支える環境配慮型の素材の提供によって、社会のサステナビリティ実現に貢献していく。

塗工面に植物油を滴下して 24 時間放置した様子

塗工面に植物油を滴下して 24 時間放置した様子

耐油紙の使用例

耐油紙の使用例

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