合成ゴム需要に低迷感 9月累計生産は小幅な伸び

2012年12月03日

ゴムタイムス社

 合成ゴム工業会はこのほど本年1―9月期の合成ゴム品種別生産実績をまとめたが、それによると累計の生産量は全体で124万1797㌧、前年同期比4・3%増と小幅な伸びとなった。上期は順調だったが、下期以降は自動車生産減や日中関係の悪化などマイナス要因が影響、先行きは不透明感が強まっている。
 本年上期は国内自動車生産の好調を背景に自動車部品並びにタイヤ需要が順調に推移したが、下期に入りエコカー補助金の終了などで国内自動車生産が減少、欧州経済危機が長期化し世界経済が減速、とくに中国経済の低迷や日中関係悪化から日本製品の不買運動などマイナス要因が重なり、生産の伸びが鈍化した。
 この結果、1ー9月累計の合成ゴム生産実績は124万1797㌧、前年同期比4・3%増とプラスを維持したものの小幅な伸びとなった。
 品種別生産量をみると、SBRは50万4779㌧、同4・1%増、NBRは8万6811㌧、同4・2%増、CRは9万7550㌧、同8・8%減、BRは21万7760㌧、同10・6%増、EPTは16万4090㌧、同9・7%増などとなった。
 品種別ではタイヤ向け汎用合成ゴム(SBR)の需要が減少している。E―SBRについては、一部メーカーで生産調整の動きもみられる。しかし、低燃費タイヤ向けが主力のS―SBRはタイヤ各社の注力商品であり、引き続き順調に需要が伸びている。自動車部品向けの特殊合成ゴムは、国内自動車生産の減少に影響を受けている。
 合成ゴム大手の中間連結決算が出揃ったが、大手2社(JSR、日本ゼオン)の収益は揃って減益となった。通期の業績予想も厳しい環境が続くと予想している。JSRはタイヤ向け汎用合成ゴム販売が落ち込んだが、価格改定により、売上高は前年同期並み。EPDMは国内自動車生産の回復により増加、輸出はS-SBRが大きく伸びた。
 日本ゼオンは、国内自動車生産が堅調に推移し、タイヤの堅調な需要があったものの世界経済減速の影響や海外市況の低下などが大きく響いた。

 

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