新しい年を迎えるにあたり、謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、年頭のご挨拶申し上げます。
昨年2025年は、日本初の女性首相が誕生し、政治の新たな局面が注目された一年でした。新しい連立政権のもとで政策や価値観に新たな視点が加わり、社会全体に変革の兆しが芽生えました。2026年が希望と挑戦に満ちた一年となることを心より願っております。
世界に目を向ければ、地政学的リスクは依然として解消されておらず、資源価格も不安定なままで、不確実性が続いた一年でした。また、米国の関税政策への対応に追われ、一時は世界的な株価下落や経済成長率の低下が懸念されました。しかし、各国政府や企業の懸命な努力、加えてAI関連技術への旺盛な投資が支えとなり、世界経済は概ね安定的な成長軌道を維持しています。それでも、日本の石油化学産業は、需要が低水準にとどまる中、特に中国の設備増強によるアジア市場での需給バランスの悪化が重なり、市況は依然として低迷し、厳しい事業環境が続いています。さらに、脱炭素社会への移行に伴う構造的変化も求められており、業界としての対応力が問われる局面となっています。
このような状況下において、日本の石油化学産業は、製造業のサプライチェーンの起点としての責務を果たすとともに、循環型経済の構築やカーボンニュートラルの実現に向けて「化学の力」で社会課題の解決に貢献することが、これまで以上に重要になっています。このため、設備の最適化や新分野への研究開発、保安力の向上、安定操業の継続を通じて事業基盤の強化に努め、また、DX・GX(グリーントランスフォーメーション)への対応を加速し、革新的なプロセス開発や原燃料転換の取り組みを進めるとともに、コンビナート間の連携強化による効率化と競争力向上を図っていくことが求められています。
当協会として、2026年は以下の重点課題に取り組んでまいります。
1.保安・安全の確保
石油化学産業においては、安全・安定操業を確保するための確実な技術伝承が、喫緊の課題となっております。熟練技術者の減少により技術力・運転力の低下が懸念される中、経営トップ層が「安全は全てに優先する」という強い意識を持ち続けることが、何より重要です。そのため、相互啓発を目的とした保安推進会議や経営層向けセミナーなどを開催し、保安力の向上に努めております。さらに、スマート保安を推進し、技術伝承の仕組みを強化するとともに、保安人材の採用や育成に取り組み、業界全体の安全水準の底上げを図ってまいります。また、昨今課題となっているサイバーセキュリティ対策についても、大学などの有識者の知見を取り入れながら推進してまいります。本年も「安全最優先」の姿勢を揺るぎなく貫き、社会からの信頼に応えるべく邁進してまいります。
2.事業環境の整備
事業環境の整備にあたっては、まず人材不足への対応として、定期修理の効率化を進め、DX導入などにより高経年化設備の安定稼働を確保してまいります。また慢性的に不足している機電系人材の採用支援を強化します。次に、規制改革については、安全を前提とした合理的な規制の見直しを関係省庁と協議し、企業活動の柔軟性を高めます。さらに、税制改正においては、経産省、および関係諸団体と連携しながら国際的イコールフッティングの実現、競争力強化等を通じて持続的な事業基盤の整備を推進してまいります。
3.グローバル課題への対応
政府が掲げる2050年カーボンニュートラル目標の達成に向け、昨年度は排出量取引制度(GXーETS)の本格始動に関する意見集約や要望提出を行い、関連団体と連携して制度運用の準備を進めてきました。
本年度は、本格始動に向けて経産省および関係諸団体と連携しながら、加盟各社によるケミカルリサイクル技術の高度化やGXの社会実装を後押しし、CO2削減と石油化学産業の経済合理性の両立を目指してまいります。
さて、本年5月には、当協会主催の「APIC(アジア石油化学工業会議)」がいよいよ福岡で開催されます。日本が開催国となる本会議においては、当協会が中心となって国際的な課題に関する意見交換を主導し、業界の連携強化と国際社会への貢献を図ってまいります。
ぜひ皆さまには、APIC福岡大会へのご参加を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、関係各位におかれましては、引き続き当協会へのご支援とご協力をお願い申し上げます。そして本年が、石油化学業界にとって、また皆さまにとって飛躍の一年となりますよう、心より祈念申し上げます。

