クラレは12月8日、同社の連結子会社である可楽麗亜克力(張家港)について、同社が保有する全株式を江蘇双象集団に譲渡することを決定し、株式譲渡契約を締結したことを発表した。
可楽麗亜克力(張家港)は、2004年の設立以来、中国市場においてメタクリル樹脂キャストシート事業を展開し、高品質を強みに高級ブランドのアクリル浴槽用途を中心に拡大してきた。また、日本市場向けキャストシートの供給拠点としての役割も担ってきた。しかしながら、近年は中国不動産市場の低迷により、主力用途であるアクリル浴槽向けの販売が減少し、収益性が低下している。
同社は中期経営計画「PASSION 2026」において事業ポートフォリオの高度化を掲げており、メタクリル事業においてもメタクリル酸メチルの生産能力削減などによる事業最適化を進めている。中国の市場環境が大きく変化する中、これまで蓄積してきた技術が生かされつつキャストシート事業が発展を目指せる道として、中国最大級のMMA生産規模を有する江蘇双象集団に同事業を譲渡し、承継されることが最善であると判断した。
譲渡時期は2026年2月中旬~3月上旬を予定している。
江蘇双象集団は、同工場の操業および従業員の雇用を含め、安定的な運営を維持し、中国市場およびグローバル市場での事業拡大を目指す。また同社が日本市場で販売する〈パラグラス〉については、同工場で生産された製品の供給を継続することで合意している。
同社は、既存の顧客への説明責任を果たしつつ、江蘇双象集団と連携し、円滑な事業移行を進めていく。
なお、本譲渡による当社の連結業績に与える影響等については、軽微と見込んでいる。今後、業績予想の修正等、公表すべき事項が生じた場合には速やかに開示するとしている。
