三井化学と豆蔵が共同開発 盛り付けを自動化できるロボット

2025年11月25日

ゴムタイムス社

 三井化学は11月21日、豆蔵と、中食製造における盛り付け工程の自動化を目的とした新型ロボット「美膳」を共同開発したと発表した。美膳は、2025年12月に開催される「2025国際ロボット展(iREX2025)」にて初公開する。
 同社は、高機能樹脂素材および設計・成形技術の提供、ロボットハンドの開発、ロボットの製造および販売を担当し、豆蔵は、システム設計、ロボットアームを含むメカ・エレキの設計、AI・ビジョン・モーションを含むソフト開発を担当する。
 同社は、共和工業やアークなど同社グループの知見を活かし、材料選定、設計、金型製作、成型加工、試作、量産、評価といった機能をワンストップで提供するソリューションを通じて、約10年に亘りロボット業界に貢献してきた。
 今回の「美膳」についても、豊富な樹脂への知見を活かし、特に食品に触れるハンド部分の樹脂選定、形状の設計を行い、食品毎に最適なロボットハンドを開発した。また、アーム部分の外装を樹脂化することで軽量化し、モーターの負荷低減、盛り付けスピードの向上に寄与している。
 同社はこれまでのロボット事業におけるOEMの経験から組立製造技術を獲得しており、今回初めて自社ブランドとして「美膳」を製造・販売することとなった。
 新型ロボット「美膳」の特徴は5点。1点目は、盛り付けロボットで業界最速の生産性(2000食/時)を実現。中食工場で人が作業した場合の生産能力2000食/時(サイクルタイム1・8秒/食)に対し、現行の盛り付けロボットの生産性は1200食/時程度だったが、美膳は人の作業と同等の生産能力を実現した。これにより、人とロボットが協働するラインでも高い生産性を維持できる。
 2点目は、迅速な生産切り替えを実現。中食工場では多品種生産により頻繁な生産切り替えが求められるが、美膳は製造ライン内を移動可能なキャスターやユーザーフレンドリーな操作画面を備えるとともに、容易に交換可能なハンドの採用により、短時間での切り替えが可能な設計となっている。また、AI・ビジョン・モーション技術により、食品形状のバラツキやトレイの位置ズレ修正などに対応している。
 3点目は、既存ラインに導入可能な軽量性・小型化を実現。軽量・高剛性の樹脂素材を採用し、双腕ロボットの小型化を実現した。これにより、既存の盛り付けラインにそのまま導入することが可能となる。
 4点目は、人との協働を考慮した安全機能。非接触外装センサーを搭載し、作業員が接近した場合には自動で減速・回避・停止する。これにより、高い生産性を維持しながら、人と同じ空間でも安全に生産することができる。
 5点目は、実証試験を通じた性能・安全性の確認。同社グループの業界ネットワークとマーケティング力を活用して現場の要件を的確に把握し、さらに、実際の工場環境下で集中的な実証試験を重ねることで、実用レベルの性能と安全性(機械安全、食品安全)を確認している。
 2025国際ロボット展(iREX2025)の会期は、2025年12月3〜 6日、会場は東京ビッグサイト、出展ブースは豆蔵ブース(西館 W2ー35)、展示内容は、美膳のデモンストレーション、AI制御技術および素材技術の紹介、共同開発ストーリー展示となる。

新型ロボット美膳

新型ロボット美膳

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