ADEKAは、同社鹿島化学品工場に次世代EUVリソグラフィ(高NA EUV)向けMOR用金属化合物のプラント新設を決定した。着工は26年4月、営業運転開始は28年4月で、投資金額は32億円。
高度ICT社会の実現に欠かせない半導体は、情報処理の高速化と消費電力の低減を背景に、高集積化や高積層化が進んでいる。こうしたなか、シリコンウエハ上にフォトレジストを塗布し光を照射して微細な回路パターンを形成するリソグラフィ(露光)工程では、メモリ(HBM)やロジック半導体のさらなる微細化に対応するため、EUV(極端紫外線)露光装置のレンズ開口数を拡大し、露光の解像度を高めることでより微細なパターンを形成できる「高NA EUV露光」が本格導入される見通し。これに伴い、露光工程で使用されるフォトレジストでは材料のゲームチェンジが求められており、現在主流のCAR(化学増幅型レジスト)と併用する形で、新しいコンセプトのフォトレジスト「MOR(金属酸化物レジスト)」の採用が拡大していくと予測される。
同社が新プラントで製造するMOR用金属化合物は、フォトレジストのEUV吸収率やエッチング耐性を向上させるキーマテリアルであり、先端メモリ向け高誘電材料を創出するうえで欠かせない金属錯体技術を応用して製品化した。既に鹿島化学品工場内のALD材料製造ラインで量産化し、お客様へ供給を開始しており、高NA EUV露光の本格導入を見据えてMOR用金属化合物の専用プラントを新設する。建屋内には将来スペースを確保し、本格的な需要増に対応するとともに、高NA EUV露光をはじめとする次世代リソグラフィ工程の技術革新をにらんだ新規材料の製造も検討している。
同社グループは、先端半導体メモリ向け高誘電材料(ALD材料)や、CARで使用されるEUV、ArF露光向け光酸発生剤など、数多くの先端材料で半導体の高性能化に貢献。2026年1月には、久喜開発研究所(埼玉県久喜市)内に新研究棟が完成し、ALD材料とCARおよびMOR向け材料の開発体制をさらに強化していく考え。
同社では今後も、先端リソグラフィ工程の技術革新を素材でリードし、先端CAR向け材料の世界トップシェアを獲得するとともに、次世代の半導体リソグラフィを支えるMOR用材料を提供していく。
2025年11月18日
