帝人は11月13日、高機能繊維の編組技術を有する世界的メーカーであるA&P Technologyと共同で、新たな炭素繊維基材「IMS65 PAEK Bimax」を開発したと発表した。
このたび開発した「IMS65 PAEK Bimax」は、同社の炭素繊維強化熱可塑性プラスチックのうち、一方向性の炭素繊維プリプレグ「Tenax TPUD IMS65 PAEK」を用いて、A&Pが組紐構造に加工した後にシート状にした製品となる。
一般的に、テープ状の炭素繊維プリプレグを加工してシート化する際には、クリンプ(縮れ)が生じてしまうため、素材本来の強度や弾性が低下する傾向にある。しかし、「IMS65 PAEK Bimax」は、加工時のクリンプを最小限に抑えており、「Tenax TPUD IMS65PAEK」が有する高い物性を維持する。そのため、高い性能が要求される航空宇宙用途など、多様な展開が可能となる。さらに、組紐構造のシートは多方向への柔軟性があるため、さまざまな方向に曲がっている複雑な立体形状にも対応できる。
また、炭素繊維を用いた複合材料部品の成形工程では、高圧で材料内の空気を抜きながら高温で硬化させる必要があり、オートクレーブ成形法を用いることが一般的だが、「IMS65PAEK Bimax」は、空気の抜けが良い特徴を有するため、VBO成形法を用いることが可能となる。このため、製造時間の短縮を実現できる。
今後も同社は、炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、炭素繊維原糸から織物基材、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いた中間材料まで、製品ラインアップの拡充と用途開発を強化していく。
2025年11月17日


