東レおよび愛知医科大学は11月6日、筋萎縮性側索硬化症に対する薬効評価技術を共同開発し、このたび、同技術を活用してALS創薬研究を広く推進するためのオープンイノベーションの枠組みを始動したと発表した。製薬関連企業との共同創薬研究を通じて、ALS治療薬の研究開発を加速していく。
ALSは、運動神経細胞が傷害されることによって全身の筋萎縮と筋力低下が起こり、発症後平均余命3~5年の難病で、日本国内だけでも約1万人の患者がいると推定されている。創薬研究が活発に進められている一方、現時点、病態の多様性に起因する臨床開発面の難易度が高く、根本的な治療法は確立されておらず、アンメット・メディカル・ニーズが極めて高い疾患となる。
両者は、日本医療研究開発機構(AMED)の創薬基盤推進研究事業の産学官共同創薬プロジェクト(GAPFREE)において、ALSのさまざまな病態に対応した患者iPS細胞由来運動神経細胞の培養技術をベースとして、ALS治療薬に対する薬効評価技術を共同で確立した。
同技術は、新薬候補物質の患者に対する有効性を高精度に評価・予測できるプラットフォームと考えられ、創薬の成功確率向上や研究開発の加速につながることが期待される。東レは、この技術を基盤として高精度データを取得できる設備・プロセスを整備し、評価体制を構築した。
今後は、同技術を活用したALS治療薬の共同創薬研究を推進するオープンイノベーションにより、共同研究先の製薬関連企業が研究中の新薬候補物質の薬効評価を実施する取り組みを展開していく。
両者は、引き続き連携して、同技術をプラットフォームとした製薬関連企業との連携を拡大し、一日も早いALS治療薬の創出に貢献していく。
2025年11月07日
