ハイケムは10月31日、清華大学発のPHAメーカー北京微構工場生物技術(PhaBuilder)並びに日興リカと、海洋生分解性樹脂PHA(ポリヒドロキシアルカン酸)の化粧品分野における共同開発および市場開拓について戦略的提携基本契約を締結したと発表した。
PHAは微生物由来のバイオマスプラスチックで、微生物の働きにより最終的に水とCO2に分解される生分解性プラスチックとなる。淡水や土壌に加え海洋でも高い生分解性を発揮し、生体内においても分解するため、マイクロプラスチック問題が生じにくい次世代樹脂として注目されている。
PhaBuilder社は清華大学が過去30年以上にわたり蓄積してきた「次世代工業化バイオテクノロジー(NGIB)」システムを活用し、安価で多様なPHA製品を生産する中国最大のPHAメーカーとなる。本年、中国の大手酵母メーカー・エンジェルイーストとの合弁会社が湖北省に年産1万tの世界最大規模のPHA製造プラントを稼働開始し、商業生産を本格化した。今後は年産3万tまでの規模拡大を計画しており、安定した供給体制と価格競争力を実現する。
日興リカは独自の粉体加工技術により、素材の特徴を活かした化粧品向け加工を行っている。同社の粉体技術を生かし、海洋生分解性樹脂PHAの特徴を活かしつつ、従来の生分解性樹脂粉末と比較して大幅に向上した滑らかな感触と、水やオイルへの優れた分散性を実現した「RUSENT POWDER」を開発している。同製品はベースメイク製品、メイクアップ製品、スキンケア製品など幅広い用途への応用が可能となる。
同社は2024年7月にPhaBuilderと日本市場における販売代理店契約を締結している。また、2019年より世界最大のポリ乳酸(PLA)メーカー豊原集団と事業戦略パートナーシップ契約を締結し、生分解性プラスチック市場の開拓に取り組んできた。現在はPLAに加え、海洋分解性樹脂PHBVやP34HBなど合計7種類の生分解性プラスチックの輸入販売体制を構築している。2021年12月にはPLA素材「HIGHLACT」を発表し、アパレル向けPLA繊維の開発にも取り組むなど、生分解性樹脂分野における幅広い事業展開を図っている。
同提携により、2026年までに日興リカの高度な素材開発技術を活用したPHA製マイクロプラスチックビーズ代替製品の開発、PhaBuilderの製造技術と量産体制を活用した供給体制の確立、同社のグローバルな市場開拓力によるPHA製品の化粧品用途への展開を推進していく。
これらの取り組みを通じて、化粧品分野におけるマイクロプラスチック問題の解決に貢献し、持続可能な美容業界の発展に寄与していく。
2025年11月06日

