ランクセスは10月22日、同社の完全出資子会社で受託製造会社のサルティゴが、ドイツのフランクフルトで10月28~30日に開催される医薬品開発に関する国際展示会「CPHI フランクフルト2025」に出展し、製薬メーカーによる的を絞ったリショアリング(生産拠点の国内回帰)によるサプライチェーン強化や、規制リスクの最小化、より持続可能な生産を実現するソリューションを展示することを発表した。多くの企業にとって、医薬品生産を欧州域内に回帰させる動きが重要戦略となりつつある中で、サルティゴは、製薬メーカーがサプライチェーンを強化し、規制要件を満たし、持続可能な生産を堅持する等の目標達成を支援する。
欧州の製薬業界は、近年、アジアへの依存度が一段と高まっている。特に医薬品原薬(API)およびその前駆体市場の多くは中国とインドに大きく依存している。このような過度の依存集中は、特に地政学的な緊張や輸出制限、さらにはグローバルサプライチェーンの混乱が発生した際に、重大な供給リスクを引き起こす可能性がある。こうした状況を受けて、欧州連合(EU)は近年、医薬品の供給および生産の安全性を高めるため、さまざまな取り組みを進めている。その一例が、2024年に設立された「重要医薬品同盟(Critical Medicines Alliance)」や、2025年2月に発表された「戦略的な医薬品供給に関する報告(Strategic Report on Medicines Supply)」である。これらの取り組みは、重要な医薬品とその前駆体の欧州域内での生産を強化し、医薬品分野における欧州の長期的かつ戦略的な自立を目的としている。
欧州では、医薬品不足監視プラットフォーム(ESMP)などの新たな取り組みや、ボトルネック防止に関するガイドラインを通じて、より強靭なサプライチェーン構築に取り組んでいる。製薬業界にとっては、複数の製造拠点構築が戦略的な優先業務としてますます重要視されており、特に規制対象原料(RSM)や複雑な中間体において顕著である。これらはバリューチェーンにおいて頻繁にボトルネックの要因となっており、その安定供給が喫緊の課題である。
