住友ゴム工業は10月16日、車載ソフトウェア開発の成熟度を評価する国際的なフレームワーク「オートモーティブ スパイス」において、第三者認証機関であるSGSジャパンのアセスメントにより、プロセス能力レベル3の達成が確認されたことを発表した。今回の達成は、同社が国際基準に準拠したソフトウェア開発プロセスを確立していることを示し、グローバル市場における信頼の可視化と競争力強化につながる成果である。
同社は今後、この成果を活かし、長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」で掲げる成長事業「センシングコア」の開発を加速していくとしている。
近年、自動運転やコネクテッドカーなど次世代モビリティの進展とともに、自動車のソフトウェアへの依存度が高まっている。自動車産業におけるソフトウェア品質の重要性が一層高まり、開発プロセスの標準化と成熟度向上は、世界中の自動車関連企業にとって必須の要件となっている。こうした潮流の中、国際規格への対応力はグローバル市場での信頼と競争力を確保する上で欠かせない。そこで、同社は「R.I.S.E. 2035」で掲げる成長事業「センシングコア」の実現に不可欠な高いソフトウェア品質を確保するため、Automotive SPICEに準拠した開発プロセスを構築し、運用を進めてきた。
Automotive SPICEとは、VDA(ドイツ自動車工業会)が策定した、車載ソフトウェア開発プロセスの能力を評価する国際基準である。本基準において、今回取得したレベル3は「確立されたプロセス(Established)」と呼ばれる段階にあたる。これは、組織として標準化されたソフトウェア開発プロセスを定義・文書化し、適切に管理することで、全社的に再現性を持って適用できている状態を意味する。レベル3はグローバル市場における標準に位置づけられ、多くの自動車メーカーがサプライヤーにその達成を求めている。今回の達成により、国際的に求められる品質保証の仕組みを同社が備えていることが確認された。
同社は、タイヤの基本性能を追求するとともに、タイヤから得られるさまざまな情報を新たな価値へとつなげる研究開発を進めている。その代表例がタイヤそのものをセンサーとして活用する独自のタイヤセンシング技術「センシングコア」である。センシングコアは、タイヤの回転により発生する車輪速信号を解析し、空気圧や摩耗状態、荷重や路面状態、車輪脱落予兆などを検知する技術であり、次世代モビリティ社会において安全性の向上に寄与すると期待されている。
今回のAutomotive SPICE レベル3達成は、こうした新技術の開発を支える高いソフトウェア品質を裏付けるとともに、同社のグローバル事業拡大に不可欠な要件でもある。
同社は、今後もさらなる品質向上を推進し、さまざまな国際規格への対応も進めながら、グローバル事業の拡大を図っていく。そうした取り組みを通じて「R.I.S.E. 2035」の達成を目指すとともに、持続可能で安全な次世代モビリティ社会の実現に貢献していくとしている。

