出光興産らが基本合意書締結 低摩擦ソリューションの事業化

2025年10月20日

ゴムタイムス社

 出光興産は10月16日、コーティング技術に強みを持つ韓国のZenith Corporationと、その日本総代理店であるグローバルコードの3社で、同社の潤滑剤と、ゼニス社のPEEKを用いたコーティングを組み合わせた世界初の低摩擦ソリューションの事業化に向け、基本合意書を締結したと発表した。
 同社は、2035年までに事業規模100億円の達成を目指し同事業の拡大を進めていく。
 潤滑剤は、摩擦を低減するために、自動車や産業機械などの摺動部(部品同士が接触して動く部分)で広く使用されている。さらに、基材の表面に耐熱性・耐摩耗性に優れたコーティングを施すことで、潤滑剤との相乗効果により、摩擦を一層低減する。同社は、これまで潤滑剤供給を中心に事業を展開してきたが、コーティングとの併用により更なる低摩擦化の実現を目指す。
 コーティング素材として広く使われてきたテフロンは、環境中で分解されにくいPFAS(Perーand Polyfluoroalkyl Substances)の一種であり、廃棄後も土壌や水中に長期間残留するため、環境への影響が懸念されている。このような背景から、非PFASで高機能な代替素材への期待が世界的に高まっている。同社は、その代替素材として、非PFASで耐熱性、耐摩耗性に優れた高機能プラスチック「PEEK」に着目した。しかし、PEEKは基材への密着が難しいことから、コーティングとしての利用は限定的だった。
 同社は、この課題に対し基材の表面に微細な凹凸を形成するアンカー構造を用いて高い密着性を実現するゼニス社の技術を採用した。また、長年培ってきた潤滑剤の設計・処方技術を活かし、PEEKの特長を最大限発揮させる高機能潤滑剤を開発した。これにより自動車や産業機械などの工業分野において、潤滑剤とPEEKコーティングを併用することで、更なる低摩擦化を実現する。なお、コーティング用途向けに塗料化されたPEEKの国内への輸入および基材へのコーティング施工は、ゼニス社の委託を受けてGC社が担う。
 同社は、環境負荷低減と高機能化を両立させる新たな低摩擦ソリューションとして、国内外の潤滑剤供給先に対し、PEEKコーティングの提案と、それに適した潤滑剤の販売を進める。これにより、自動車や産業機械などにおける省燃費・省電力化を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

PEEKコーティングを施したリングとブロック

PEEKコーティングを施したリングとブロック

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