東レエンジニアリングDソリューションズ(東レエンジD)は、プラスチック製品の設計・生産時に使用する樹脂流動シミュレーションソフトの新製品として、解析の精度とスピード及び操作性を大幅に向上させた「XTIMON」(クロス タイモン)を開発し、11月から本格販売を開始する。自動車や家電、OA機器等向けに使用される樹脂部材の設計・生産用途を中心として展開し、25年に累計700社、2030年に累計1000社への導入を目指す。
同社は1980年代から展開してきた樹脂流動シミュレーションソフト「3DTIMON」は、入力できるパラメータを増やすと解析に時間を要してしまうことなどから、時間とのバランスを取るために入力できるパラメータに制約を設けている。ただ、どうしてもシミュレーションと成形結果に乖離が発生するケースがあるという課題があった。解析条件の設定にユーザー側の知見が求められることから、成形不良(反り変形等)が出ない結果に至るまで複数回のトライアンドエラーが必要となること、不良が出ない結果に早期に行きつくには熟練した経験や知見を必要とするなどの課題があった。ソフトそのものが専門性の高い仕様になっていることで、操作方法をマスターしたり、効率的な手順で使用できるようになるまでに時間がかかったりするという意見もユーザーから寄せられていた。
XTIMONはこの課題やニーズに対応したもの。同社のAI技術を活用することで、ユーザーが入力するパラメータに加えて、蓄積した過去の解析結果と実物の成形不良の結果のデータを活用しAIが解析することで、効率的に解析でき、さらに従来製品に比べて精度を30%以上改善した。
また、テンプレートシステムを採用し、熟練者が作り込んだ解析設定をテンプレートとして保存することが可能。同じ条件の繰り返し設定・入力が不要となることでの効率化に加え、経験が浅いユーザーでも熟練技術者と同じ解析やその結果を踏まえて設計することができる。加えて技術の効率的な伝承が可能となる。
これらに合わせて、ユーザーインターフェースを大幅に見直すことで、解析準備時のマウス移動量の50%削減や、1製品あたりの解析作業クリック数の90%削減により、特に初心者の解析準備の時間を50%削減するなどの効果が見込まれている。
同製品は「3DTIMON」のバージョンアップ版として展開。3DTIMONユーザーはそのまま移行が可能で、さらに今後は本機能をもとにバリエーションを拡充していく計画だ。
2025年10月17日
