レゾナックは10月15日、曲げ強度が同社従来品と比較して1・4倍に向上した磁性封止材を開発したと発表した。
同製品は、スマートフォンなどの機器に搭載されるインダクタ用の材料で、衝撃や湿度などによるインダクタの機能低下を抑制し、機器の信頼性向上に貢献する。同開発品は、2026年の量産開始を予定している。
同製品開発にあたり、同社は、独自技術である最先端の量子化学計算に基づく反応解析を活用し、磁性封止材中の樹脂と磁性粉の接合メカニズムを解析することで、従来の3分の1の期間で開発を完了し、市場投入までのスピードを高めることに成功した。
同社は、課題解決のため、カップリング剤(添加剤)に着目した。しかし、カップリング剤の種類は非常に多く、全てを実験により評価すると、時間もコストもかかる。そこで、同社は、量子化学計算に基づく高度な反応解析により、磁性粉のコーティングと樹脂の接合に対するカップリング剤の影響を解明し、同課題解決に最適なカップリング剤を探索、選定した。その結果、樹脂と磁性粉の界面での接合力が向上し、従来のカップリング剤を添加した場合に比べて、曲げ強度が1・4倍に向上した磁性封止材を開発した。
同製品の開発で活用した技術は、磁性粉のように金属を含む材料との接合強度の向上が期待できるため、金属の種類にかかわらず、金属と樹脂が接合する複合体への展開が期待される。
同社計算情報科学研究センターでは、物理法則に基づいたシミュレーション解析を行う「計算科学」と、データに基づいてAI等を用いた解析を行う「情報科学」を駆使して、研究開発や事業開発を加速することを目指している。また、新たな価値創出につながる技術の特許を出願することで、技術としての価値を高めている。
同社は、今後も時代が求める機能をいち早く創出することにより、グローバル社会の持続的な発展に貢献する。
2025年10月16日

