帝人フロンティアが放熱塗料開発 高密着性、製品寿命延長に期待

2025年10月10日

ゴムタイムス社

 帝人フロンティアは10月8日、高熱伝導性能を有するグラフェンなどの特殊フィラー(充填剤)と高耐熱樹脂を用いることで、高い放熱性能と塗布面への密着性および、耐久性能を発揮する放熱塗料「ラジエックス」を開発したと発表した。
 「ラジエックス」は、電子機器および、一部の家電や産業機器、自動車部品などの電子機器が搭載された製品に放熱塗料として使用することで放熱のコントロールを実現し、性能低下を抑制し、製品寿命を延長させることが期待できる。
 同社は、放熱部材や筐体などに塗布することで放熱性を向上させることができる新規放熱塗料の開発を進めてきた。そして今般、グラフェンを含む複数の高熱伝導フィラーと高耐熱樹脂を用いることで、高い放熱性と高温環境下における塗布面への高い密着性、および耐久性を有する放熱塗料「ラジエックス」の開発に成功した。
 「ラジエックス」の特長は、高い放熱性能、高い密着性と耐久性能、高い放熱性による熱対策の合理化となる。
 グラフェン粒子(粒径5〜15μm)を含む複数の高熱伝導フィラーを塗料内に均一に分散させることで、高い熱伝導性を実現している。さらに、形状の異なるフィラーを混合させることで生じる塗膜表面の微細構造が赤外線放射を促進し、放射率を高めている。
 非シリコーンの高耐熱樹脂を使用することで、マイナス40℃〜200℃の温度環境や高湿度条件でも剥離せずに、高い密着性と耐久性能を有している。また、塗膜形成が容易で、部品の形状に左右されず、安定した塗膜性能を発揮する。
 高い放熱性を発揮することにより、同製品を使用する製品や部品では、熱対策を合理化することが可能となる。例えば、回路パターンや電子部品の簡素化および、小型化への仕様変更、それらの設計の合理化、電子部品の温度低減による消費電力削減などが期待できる。
 今後の展開は、2026年度中に、塗装面がアルミニウムや銅などの金属である、電子機器や電子機器が搭載された製品向けに販売を開始する。今後、樹脂部品にも塗装可能な製品開発を進めていく。売上目標として2028年度に1億円、2030年度には10億円を目指す。

ラジエックスを塗布したヒートシンク

ラジエックスを塗布したヒートシンク

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