三井化学、萩原工業、丸喜産業、日本電気は10月7日、AIにより材料開発を効率化するマテリアルズ・インフォマティクス(Materials Informatics)技術を活用して、再生プラスチックの品質安定化と製造工程の大幅な効率化に向けた協業を開始したことを発表した。
環境汚染や自然破壊の一因となっている廃プラスチックの削減に向けて、様々な取り組みが世界中で行われている。日本では国の方針によりプラスチックの3Rや適正な処理が進められているが、依然として大半は焼却・埋立てにより処分されており、廃プラスチックを新たな製品の材料として再利用する取り組みを加速することが、持続可能な社会の実現のためには重要である。
一方で再生プラスチックの製造においては、利用できる廃プラスチックの量や質が日々変動するため、粘度や強度など求められる物性を実現するために用いる添加剤の種類や量を都度調整する必要がある。その中でも、粘度を均一化するには熟練作業者の経験やノウハウをもとに材料の配合を決定し、専用の装置で混ぜ合わせて粒の大きさを揃えて(タンブリング工程)から製造する必要があり、品質の安定化と作業の効率化が求められている。
本協業では、三井化学と萩原工業が共同開発し、本年10月より萩原工業から製造・販売を開始した、再生プラスチック製造中の粘度を計測し追加する樹脂の投入量を調整することで均一化する1台式押出機による粘度均一化装置を用いて、リサイクラーの丸喜産業の工場で得られた膨大な量の粘度データをNECのMI技術で分析する。これにより、再生プラスチックの製造に必要なすべての材料を、粘度を計測しながらリアルタイムで調整することが可能となり、さらなる品質の安定化を実現する。また、再生プラスチックを製造・利用する企業の品質安定化プロセスとして必要なタンブリング工程が不要となるため、製造全体の所要時間を従来比で25%削減することを目指す。
本協業により4社は、再生プラスチックの製造工程を変革し、品質の安定化や製造能力の拡大、作業効率の改善による製造現場の省力化を実現する。また、資源循環を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していく。
4社は今後、再生プラスチック製造における粘度制御を自動化・最適化するシステムの開発に向け本技術の実証を進め、早期の実用化を目指す。
なお、丸喜産業は本取り組みについて、本年10月7日に東京ビッグサイトで開催されるJAPAN PACK 2025日本包装産業展のカンファレンスにて紹介予定である。
