TOYO TIREは9月22日、国内での導入が本格化するEV路線バス向けに専用タイヤ「ナノエナジー エム ロクヨンハチ イーブイ」を開発し、2025年9月22日より発売することを発表した。
EVバスは、大容量の駆動用バッテリーを搭載するため車両重量が増し、加えて、電動モーター特有の高トルクによる発進や加速、あるいは制動時にタイヤへかかる負荷が大きくなるため、これまで以上に高い「耐摩耗性能」が求められる。また、EV車両は1回の充電で走行可能な航続距離が重視されることから、転がり抵抗に優れた「低電費性能」の重要性も一層高まっている。
同社は、都市部や地域路線で運行される大型バス車両のEV化を見据え、耐摩耗性能と低電費性能を向上させ「EV路線バス専用タイヤ」として最適化したNANOENERGY M648 EVを開発した。
耐摩耗性能と低電費性能は相反する関係にあるが、材料や構造、パターン設計などさまざまな側面から改良のアプローチを行ない、両性能をより高次元で両立(同社既存品に比して耐摩耗性能で8%、転がり抵抗で4%の性能向上)させることができた。特に今回、共通して双方への良化効力を発揮しているのが、同社独自のゴム材料開発基盤技術「ナノバランステクノロジー」におけるプロセス技術の進化によって編み出した新配合「耐摩耗NCPコンパウンド」である。
このほか、構成するブロックの大型化・高剛性化によって接地圧力の均一化、接地時の過度なブロック変形の制御を実現し、耐摩耗性能を高めたほか、サイド部に新たに施した接地端サイプによって偏摩耗の抑制を向上した。また、独自のトラック・バス用タイヤ開発基盤技術「イー・バランス」による高剛性ブロック採用の新パターン設計により、転がり抵抗を低減している。さらに、サステナブル素材を活用した再生ビードワイヤーを採用することで環境負荷の低減にも配慮している。
経済産業省が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、自動車のライフサイクル全体でのカーボンニュートラルの実現が打ち出されており、これを背景に国内でのEV車両の普及が進展している。こうしたなかで、2018年に国土交通省が「電動バス導入ガイドライン」を策定したことを受け、日本バス協会は2030年までにEVバスを1万台導入する目標を掲げ、導入促進に向けた取り組みが本格化している。
同社はこれまでに蓄積した専門的な知見を生かし、顧客の課題解決や社会のニーズに応えるトラック・バス用タイヤの開発と普及に注力することで、持続可能なモビリティ社会の実現に向け、今後も積極的に貢献していくとしている。

