帝人は9月18日、同社の炭素繊維「テナックス」を用いた炭素繊維織物が、米国のNCAMPから認証を取得したと発表した。
このたびの認証は、同社の炭素繊維織物にSyensqo N.Vのエポキシ樹脂「PRIME EP2400」を組み合わせ、真空含侵工法(VaRTM工法)を用いる条件で取得したものとなる。VaRTM工法がNCAMPの認証を取得したのは今回が初めてとなる。
NCAMPは、ウィチタ州立大学が運営する民間認証機関で、認証された複合材料の仕様は、米国連邦航空局(FAA)、欧州航空安全局(EASA)、およびブラジルの国家民間航空機局(ANAC)に認められている。
同社は、航空宇宙産業向けの化学製品などを手掛けるサイエンスコ社とともに、VaRTM工法による航空機構造材の実用化を目指し、ミシシッピ州立大学先進複合材料研究所と提携して研究開発を進め、NCAMP認証の取得を目指していた。
このたび認証を取得した炭素繊維織物は、同社の「テナックス」繊維束を一方向に配列したものをさまざまな角度で積層したノンクリンプファブリック(NCF)および、同様に一方向に繊維束を並べてシート状にしたユニダイレクション(UD)となる。これらにVaRTM 工法を用いて成形した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、航空機構造材向けに多用されるオートクレーブ成形法によるCFRPと同等性能を有しており、小型から大型の構造材に対応可能であるほか、オートクレーブ成形法と比較してより複雑な形状への対応も可能となる。
航空機メーカーや部品サプライヤーは、認証された材料と製法を用いて、NCAMPが公開しているデータベースを活用することで、自社による個別試験などを省略できるため、民間航空の安全を管轄する政府機関からの認定を効率的かつ低コストで取得することが可能になる。
これにより、生産コストの削減や、設計から生産までのリードタイムの短縮が期待され、製品開発の初期段階から量産に至るまでのプロセス全体の加速につながる。
今後も同社は、航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、炭素繊維原糸から織物基材、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いた中間材料まで、製品ラインアップの拡充と用途開発を強化していく。
2025年09月22日
