三菱ケミカルは9月11日、同社と本田技研工業が共同で開発したPMMA(ポリメチルメタクリレート、以下「アクリル樹脂」)リサイクル材が、新型軽乗用EVの「NーONE e:(エヌワンイー)」用の「ドアバイザー」に採用され、2025年9月12日に発売されることを発表した。アクリル樹脂リサイクル材がドアバイザーに採用されるのは自動車用品業界初となる。
アクリル樹脂は、熱分解によって原料のMMA(メチルメタクリレート)に戻すことができ、ケミカルリサイクルに適した素材である。同社は2021年からマイクロ波化学と共同研究を進め、マイクロ波を利用した熱分解リサイクル技術を確立してきた。
一方で、使用済み自動車から回収されたアクリル樹脂は、品質の安定性や再利用の難しさから、これまで製品へのリサイクル利用が困難だった。そこで同社はHondaおよび北海道自動車処理協同組合と連携し、アクリル樹脂の水平リサイクルに向けた実証実験を実施した。異物が混入しない回収方法と、バージン材と同等の品質を持つ再生技術を確立した。
今回採用されたNーONE e:用のドアバイザーにはこの技術で回収・再生されたアクリル樹脂リサイクル材が使用されており、製造・廃棄時に発生するCO2排出量の削減と資源循環が可能になる。
同社は今後もアクリル樹脂のさらなる技術開発を進め、素材の力で顧客を感動させる「グリーン・スペシャリティ企業」を目指し、サステナブルな社会の実現に貢献していく。

