BASFは9月12日、エストニアの電解装置メーカーであるStargate Hydrogenが製造するアルカリ水電解装置(AWE)のスタック用フレームに、高性能熱可塑性樹脂Ultrasonを提供したと発表した。
ポリスルホン(PSU)樹脂Ultrason Sは、ニッケルなどの金属代替として、スタックの大幅な軽量化を実現する。同社の高性能熱可塑性樹脂は、過酷なアルカリ環境下においても高い耐熱性と耐薬品性を発揮するため、金属代替が可能となる。また、優れた圧縮強度により、高いスタック圧にも耐えることができる。Ultrasonは射出成形が可能なため、金属よりも設計の自由度が高く、機能統合が容易となる。今回のStargate Hydrogenとの協業により、卓越した成果が実現した。
例えば、Stellarシリーズの加圧スタックは長寿命設計であることにより、信頼性の高い水素生産を可能にし、ダウンタイムとメンテナンスコストの削減に貢献する。また、このような耐久性と信頼性により、グリーン水素生産の経済性が高まり、コスト効率の高いソリューションとなる。
アルカリ水電解装置は、水から水素を生成する電解法の中で最も堅牢かつ実績のある形態となる。
これにより、貨物輸送、鉄鋼、化学産業などにおける脱炭素化に向けた革新的なアプローチを提供する、新しい高電流電解装置が実現する。
Stargate HydrogenのStellarスタックは、直径85cmのフレーム(特許出願中)を採用している。同社の高性能樹脂Ultrasonにより、これらのフレームは、より高い動作温度での長寿命化に重点を置きながら、大型で頑丈かつ耐久性に優れた構造を実現している。また、UltrasonはAWEシステムにおける過酷な応力に耐え、優れた耐加水分解特性を示す。さらに、安定した機械的特性により、現行(90℃)および将来(100℃超)の電解装置に適している。
同社は、アルカリ水電解型(AWE)、プロトン交換膜型(PEM)、アニオン電解質膜型(AEM)電解装置の性能要件を満たすUltrasonの各種グレードを提供している。
同社は用途に関する専門知識と現地での技術サポートを活かし、フレーム、ガスケット、セパレータ膜などの電解装置部品向けにポリアリールエーテルスルホン(PSU、PESU、PPSU)を提供している。
Ultrasonは、ポリエーテルスルホン(Ultrason E)、ポリスルホン(Ultrason S)、ポリフェニルスルホン(Ultrason P)から成る同社の製品群の商標名となる。この高性能熱可塑性プラスチックは、水ろ過用メンブレン、スタイリッシュで耐久性があり安全な家庭用品やケータリング用品、自動車産業や航空宇宙産業で使用される軽量部品の製造に活用している。Ultrasonブランドは、その優れた特性により、熱硬化性樹脂、金属、ガラス、セラミックの代替として利用することができる。
2025年09月16日

