ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは9月4日、2025年9月15日~19日にドイツのミュンヘン・トレード・フェアセンターで開催される「ドリンクテック2025」に出展することを発表した。
同社は、同展示会で飲料の微生物学的安定化を実現する極めて有効なソリューションである「ベルコリン」および「ナガルド」を展示する。この2製品は、単独でも併用でも使用可能で、製品安全性、資源の有効活用、コスト効率において業界の新たなスタンダードとして注目されている。エネルギー・原材料コストの上昇や設備稼働率の最適化を背景に、飲料メーカーは柔軟かつ効率的な技術を模索しており、中でも微生物学的安定性は主要な品質基準の一つとなる。
同社が提供するナガルドは、これま で一般的であったボトルや缶入りノンアルコールビールのトンネル式・チャンバー式殺菌に代わる自然由来の手段として初めて提供するとともに、生ビールに対する持続的な保存も実現する。ノンアルコールワイン向けには、世界的に有効な解決策としてベルコリンが認知されている。
ワイン分野におけるナガルドの認可取得も現在進行中となる。ノンアルコール飲料には両製品の併用が推奨される。ベルコリンは充填直前に計量装置で比例添加される一方、ナガルドは事前溶液として製品のブレンド工程で添加可能となる。
ベルコリンは、40年以上にわたり、従来型の低温充填飲料における微生物学的安定性を確保するための、エネルギー効率に優れた技術として活用されてきた。その高い普及率は、同社が開発した投与技術により、既存または新規の飲料充填ラインのほぼ全てに統合可能な扱いやすさに起因している。最新世代の投与装置では、新たなソフトウェア機能に加え、エンドレス+ハウザー社製コリオリ式質量流量計が導入されており、機械診断と予防保全のさらなる高度化が可能となる。
ベルコリンに加え、ナガルドは革新的かつ自然由来の防腐剤として製品ラインアップを拡充する。ナガルドは、ツノマタタケ(真菌)由来の糖脂質を有効成分としており、天然の発酵プロセスにより高純度で生成される。この糖脂質は低濃度(1リットル当たり2~50mg)でも酵母、カビ、細菌に対して高い抗菌効果を発揮する。また、飲料の風味プロファイルに影響を与えることはない。
ナガルドは優れた熱安定性を備えており、アリシクロバチルスやビソクラミスなどの耐熱性の胞子形成菌に対しても効果的な防御手段となる。ナガルドは通常、製造工程における加熱処理前に水溶液として添加される。これにより、加熱充填やトンネル式殺菌処理といった工程においても微生物汚染のリスクを軽減するソリューションとして機能し、熱処理後も抗菌効果が持続する。また、ナガルドの適用方法は簡便で、既存の製造プロセスに容易に組み込むことが可能となる。
ナガルドの市場投入以来、その応用範囲は着実に拡大を続けている。当初は炭酸飲料およびノンカーボネート飲料が中心だったが、現在ではノンアルコールビール、コンブチャ、さらにザクロの実粒、ソーセージ、チーズなどの食品表面処理にも使用されている。同社はナガルドのさらなる規制承認の取得と新規応用分野の開発を継続的に進めている。例えば、他の果実類、液体栄養補助食品、ビーガン代替食品などが対象となる。欧州連合では2022年6月よりナガルドが承認されており、糖脂質として表示されている。一方、米国では包装ラベルに「キノコ抽出物」または「キノコ糖脂質」という表記も見られる。
ナガルドおよびベルコリンに加え、同社は飲料や加工食品の安全な安定化のために、その他の高純度かつ天然物同等の防腐剤も提供している。これには、「プロックスB」(安息香酸、E210)、「プロックスS」(安息香酸ナトリウム、E211)、「カラマSodium Benzoate NF/FCC」(安息香酸ナトリウム、E211)、「カラマPotassium Benzoate FCC(E212)」(安息香酸カリウム)が含まれる。
オランダと米国に2つの生産拠点を有する同社は、世界有数の安息香酸塩サプライヤーとなる。これらの防腐剤は清涼飲料や加工食品など幅広い用途に使用されている。
また今回、同製品群は環境に配慮したスコープブルーブランドからも提供が開始された。製品のカーボンフットプリントを大幅に削減しながら、品質と製品特性は従来通り維持されている。
同社は、世界有数の飲料専門見本市「ドリンクテック」において、飲料安定化のための2つの強力なソリューション「ベルコリン」と「ナガルド」を紹介した。これらはノンアルコールビールやワインなどにおいて、微生物学的安全性を確保する。
2025年09月08日
