ランクセスが創立20周年 「日本は戦略的に重要な市場」

2025年08月21日

ゴムタイムス社

 ドイツの特殊化学品メーカーランクセスは8月19日に東京都千代田区で創立20周年記念イベントを開催し、来日したランクセスAG経営委員会メンバーのフーベルト・フィンク氏が日本市場と第2四半期業績等について説明をした。
 同社は2005年1月に独バイエルグループから分離・独立し、ドイツ証券取引所に上場、その後、事業ポートフォリオの変革を経て中間体、添加剤、コンシューマープロテクション製品に焦点を当て、日本の特殊化学品市場での地位を確立してきた。東京都千代田区に日本法人の本社を置き、愛知県豊橋市に生産施設と品質管理ラボ、神奈川県川崎市にテクニカルセンターを構えることで日本市場での事業を展開している。豊橋事業所では、ラインケミービジネスユニットの拠点としてゴム添加剤の製造施設と品質管理ラボを運営し、川崎テクニカルセンターでは、物質保護剤ビジネスユニットの国内顧客向けに包括的な微生物試験サービスを提供している。同社は2015年にラインケミー・ジャパン株式会社と合併し、ゴム添加剤およびその他の特殊化学品事業を強化。その後、ケムチュラ(2010年)、テセオ・グループ(2021年)、エメラルド・カラマ・ケミカル(2021年)、IFFの微生物制御事業(2022年)などの戦略的買収を通じてポートフォリオを拡大し、日本におけるイノベーションと市場リーダーシップへのコミットメントを強化している。
 フーベルト・フィンク氏は日本市場について「日本はランクセスにとって戦略的に重要な市場だ。日本市場においてもコモディティ化された事業ではなく、特殊化学品事業を強化していく。これまでも、これからも日本はイノベーションドライバーの国であり、次の10年を見ても日本市場の重要性は増してくる」と期待を示した。
 同社の25年度第2四半期業績業績は、売上高は前年同期比12・6%減の14億6600万ユーロ(前年同期:16億7800万ユーロ)となった。特別項目を除いたEBITDAは前年同期比17・1%減の1億5000万ユーロ(前年同期:1億8100万ユーロ)となった。第2四半期の特別項目を除くEBITDAマージンは10・2%となった。
 減益の主な要因は、世界的な需要低迷によるもので、すべてのビジネスユニットで売上高が減少した。加えて、2025年4月1日付で完了したウレタンシステムズ事業の売却も減益要因となった。
 2025年度通期の業績見通しは、従来予想の特別項目を除くEBITDA6億~6億5000万ユーロを修正し、5億2000万~5億8000万ユーロと予想した。
 また、同社は需要低迷に対応するため、グローバル生産ネットワークの最適化を推進している。 クレフェルト=ユルディンゲン拠点の酸化ヘキサン設備は、当初計画より前倒しで2025年第2四半期末で閉鎖。また、香料化学品のグローバル生産拠点を集約し、2026年中に英国ウィドネス拠点での生産を停止する予定。米国エルドラド拠点では臭素生産の効率化を推進する。
 これらの施策により、2027年末以降、年間5000万ユーロの恒久的なコスト削減を見込む。
 主要三部門のコンシューマープロテクション部門の売上高は4億8900万ユーロで前年同期比12・8%減となった。特別項目を除くEBITDAは8・8%増の8700万ユーロ。
 スペシャリティアディティブス部門の売上高は5億2800万ユーロで前年同期比7%減となった。特別項目を除くEBITDAは17・1%減の5800万ユーロ。
 アドバンスト中間体部門の売上高は4億4600万ユーロで前年同期比6・7%減となった。特別項目を除くEBITDAは24・1%減の4400万ユーロとなった。
 また、説明会終了後には、農業及び食品・飲料、バッテリー及び自動車、建築材料、塗料及びコーティング、化粧品及びパーソナルケア、電機・電子材料及び半導体、持続可能性の6つの分野をテーマにランクセスの技術と製品ソリューションを総合的に紹介する「ランクセス・ソリューションズ・デー東京」も実施された。持続可能なモビリティのための革新的なソリューションでは、無機顔料ビジネスユニットの酸化鉄「バイオキサイド」やラインケミービジネスユニットのゴム産業向けにカスタマイズされた製品などが紹介された。

フーベルト・フィンク氏

フーベルト・フィンク氏

フーベルト・フィンク氏と米津潤一日本法人社長

フーベルト・フィンク氏と米津潤一日本法人社長

ラインケミー製品

ラインケミー製品

ランクセス・ソリューションズ・デー東京

ランクセス・ソリューションズ・デー東京

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