住友ゴム工業は8月18日、筑波大学体育系小井土正亮准教授との共同研究に基づき、サッカー選手のプレーに着目して性能を追求した新たなロングパイル人工芝の開発を開始したことを発表した。「サッカープレーヤーが良いと感じる人工芝のプレー性能の明確化」と題した共同研究の結果については、本年3月に開催された日本フットボール学会22nd Congressにて報告された。これまで選手のプレーに着目した人工芝研究はほとんど行われておらず、本研究は選手の競技環境の質を高める新たな取り組みとして注目されている。同社はこの研究結果をもとに、人工芝の各種特性の中から、選手のプレーに深く関わる要素を「プレー性能」と定義。選手のパフォーマンス発揮を支える優れたプレー性能を備えた人工芝の新製品を、年内に発売する予定となっている。
2000年以降、ロングパイル人工芝ピッチは競技場や教育施設を中心に普及が進み、現在では国内での施工実績が延べ4500件を超えている。これまで多くのスター選手を輩出してきた関東大学サッカーリーグでは、2024年からホーム&アウェイ制が採用され、9割以上の試合が人工芝ピッチで開催された。人工芝ピッチは、天候の影響を受けにくく、年間を通じて安定して使用できることから、日本のサッカー界の発展に欠かせない存在となっている。一方で、人工芝ピッチは、種類や品質などによってグラウンドのコンディションに差が生じるため、選手の身体的負荷の増加やプレー性能のばらつきといった課題も指摘されている。
本研究は、選手が良好な環境で日々のトレーニングや試合に臨めるよう、選手が重視するプレー性能や身体への負荷と人工芝の力学的特性との相関関係を明らかにすることを目的に行われた。

