住友化学は8月5日、子会社であるSーRACMOにおいて、第3棟の再生・細胞医薬製造施設(通称「CRAFT」)を竣工したことを発表した。本件は、旺盛な顧客需要により製造能力がひっ迫するなか、生産能力を高めるための設備投資の一環として実施したものである。今回の増設により生産能力は従来比約2倍となり、事業の持続的な成長を支える。今後、さらなる事業拡大に向け、第4棟の新設なども予定している。
SーRACMOは、再生・細胞医薬分野の製法開発、製造などのCDMO事業を行う会社である。2020年の設立以降、同社が有するiPS/ES細胞の基盤技術や医薬品の受託製造に関するノウハウと、住友ファーマが再生・細胞医薬事業における長年の研究および複数のプロジェクトで培った高度な製法開発や製剤開発などのノウハウを活用し、再生・細胞医薬CDMOに関わるケイパビリティの蓄積および高度化に取り組んでいる。損益面でも2021年度以降4期連続の黒字、増益を着実に達成してきた。
SーRACMOは、本施設を使用する製造受託案件の引合いを複数獲得していることから、新たに約150億円を投資し、既存施設の設備増強や第4棟の新設などを行う計画である。本投資計画では、経済産業省の「令和6年度補正 再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備支援事業費補助金」も活用し、新規製品のタイムリーな受託、製造・開発・品質管理業務を行うエキスパート人材の育成などにも取り組んでいく。
さらに、SーRACMOは、同社の子会社であるRACTHERAがパーキンソン病を対象として開発を進める「非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞」の製造も担う。住友ファーマとRACTHERAは、住友ファーマを申請者として、本製品の国内における製造販売承認申請を行った。上記投資計画の一環として本製品の製造体制強化も行い、グループ一丸となってパーキンソン病治療への貢献を目指していく。
同社は、当面の成長ドライバーと位置づけるアグロ関連およびICT関連に続く次の成長領域として、アドバンストメディカルソリューション部門の育成に中長期的な視点で取り組んでおり、SーRACMOが担う再生・細胞医薬CDMO事業をその中核の一つと位置付けている。
同社は、引き続きグループを挙げて再生・細胞医薬事業の拡大を推進するとともに、新たな革新的治療法の開発・実用化に貢献していくとしている。
